五輪3連覇と世界選手権を加えて13連覇を達成、国民栄誉賞まで手にした吉田沙保里(30)のズバ抜けた実力と人気にあやかろうと、ラグビー界が獲得に乗りだしたのだ。
発端は昨年12月20日に都内で開かれた吉田の「国民栄誉賞を祝う会」。お祝いに駆け付けた日本ラグビー協会会長の森喜朗元首相が「(リオ五輪に吉田を)ぜひ使いたい」と助っ人要請し、「伊調(馨)さん、浜口(京子)さんと3人でスクラムを組めば、五輪にいける」と、とんでも構想をぶち上げたのだ。
この発案に共感したアントニオ猪木、朝青龍(元横綱)、九重親方らもすかさず「二刀流」の後押しを約束、一気に現実味を帯びてきたのだ。
「はじめは外交辞令かと思ったが、ラグビー界は既に調査済みでいい感触を得ているようです。決してマユツバの話ではない。ラグビーといっても、五輪の女子ラグビーはセブンズと呼ばれる7人制で前後半各7分。しかも、1日に何試合もする。ここ一番で彼女達を投入する作戦です。女子ラグビーは歴史が浅いこともあり、キャリアより体力勝負の側面を持つ。プレーする7選手の中に吉田、伊調、浜口が入れば、労せずトライを狙える。とりわけ、吉田十八番の高速タックルはラグビーの域を超えている。異次元のプレースタイルですから」(大手広告代理店五輪担当者)
二刀流転身への本気度を示すように、昨年末に行われた女子レスリングの全日本選手権では吉田(55キロ級)、伊調(63キロ級)、浜口(72キロ級)の3選手がそろって欠場した。五輪後でもあり、オーバーホールの目的もあるのだろうが、五輪招致関係者によれば、後進の育成の狙いも込められているという。
3年後のリオデジャネイロ五輪では吉田、伊調はそれぞれ34歳と32歳。浜口に至っては38歳。年齢的にレスラーとしてのピークを超えているし、その4年後の東京五輪ともなればなおさらだ。そこで女子ラグビー兼任を視野に入れているのだ。
「なでしこジャパンじゃないが、まだ競技人口の少ない女子ラグビーならメダルが十分に狙える。2010年に発足した日本代表の女子セブンズチームにしても、エースでモデル級の美形の鈴木彩香(23)を除けば生粋のラガーは少なく、主将の中村知春はバスケット、FW片嶋佑果は陸上円盤投げといった具合いにバレーボール、ハンドボールなどからの転向組でレスリングでも違和感はない。吉田や伊調は所属するALSOK(総合警備保障)のテレビCMでもわかるように、彼女たちは十分に走り込んでおり、走力に不安はない。かつ浜口をスクラムの中心に据えれば、無敵でしょう。なでしこを上回る人気競技になるポテンシャルを備えているのです」(スポーツ紙デスク)