「こんな殺人的な強行試合になったのは、主催側にも責任があるのでは!?」
と疑問の声も上がった。
「軟球の加盟校はあまり多くありません。大会の日程を夏休み中に消化させるため、1試合の延長は15回までと決めており、結果的に4日間連続、計10時間を超す壮絶な試合となってしまいました」(取材記者)
延長50回はレアケース。始業式にずれ込むという事態を想定していなかったため、中京は準決勝と決勝をダブルヘッダーで戦わなければならなかった。
「軟球の高校、社会人野球を経験したOBによると、投手は、硬球よりも『横の変化球』の精度が高いそうです。硬球ほどスピードは出ませんが、キレのあるボールを投げられるとフライアウトが量産され、投手戦になりやすい傾向がある。軟球は国際大会の存亡が危ぶまれており、これを契機に野球ファンの関心が高まればいいのですが」(スポーツライター・美山和也氏)
2日目の試合を終えたころから中京、崇徳両校ベンチでは「連投させていいのか」の声も出ていた。勝利した中京の平中亮太監督は「記録を作りたくて作ったわけではないが」と前置きしてから、優勝の喜びを伝えていた。
「4日間は試合の緊張感で本人らも気づかないが、中京・松井大河(709球)と崇徳・石岡樹輝弥(689球)の両投手の今後が心配です。崇徳側は石岡の右肩の腫れ、痛みをにおわせていた」(前出・取材記者)
硬球の甲子園大会では'06年の斎藤佑樹(早実)が1大会通じて948球を投げたのが最高で、'97年・平安の川口知哉820球、'13年春の安楽智大(済美)の772球などが思い出される。
「安楽も連投の代償に苦しんだ。斎藤がいまだ開花できないのもそうだとしたら、高野連は硬球・軟球ともに抜本的改革をするべき」(スポーツ紙デスク)