理由の一つとして関係者が指摘するのは、今年上半期の世界販売でトヨタが2年ぶりに首位に返り咲いたことだ。
「去年は東日本大震災の影響をモロに受けた分、今年は回復が際立ったまでのことです。しかもエコカー補助金の追い風も吹いた。しかし補助金が打ち切られれば、需要先取りの逆風にさらされる。エコポイントで恩恵を受けた家電量販店が、一転して逆風に立たされたのと同じことが、自動車業界にも待ち受けているに違いありません」(担当記者)
今後予想される急ブレーキを、どこまで補えるかとなると怪しい限りだが、家業の相続に当たって『帝王学』を授かった章男社長のこと、そんなことは先刻承知しているに決まっている。ならば、なぜ超強気の販売計画を掲げたのか。
「彼は創業家の直系ということから、目ぼしい実績がないにもかかわらず社長に抜擢された。その威厳を誇示するためにも、一度は転落した“業界の盟主”奪回の勲章が欲しいということ。加えて周囲をイエスマンで固めているため、耳障りのいい情報しか入らない。そんな連中が『GMを蹴落として世界一を奪回すれば世間の評価が高まる』とゴマをすったとの情報さえあり、ディーラーから『余計なお世話だ』のブーイングが漏れているのです」(トヨタ・ウオッチャー)
計画倒れに終われば、御曹司のメンツは丸潰れとなるが、周囲は「それはそれで…」ということらしい。