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ヒロ ホンダ 映画「アウトレイジ最終章」出演で注目を浴びる仕事人

 「うるせぇんだよ! ぶち殺すぞ、ばかやろう!」
 お馴染みの怒号が飛び交う北野武監督の最新映画『アウトレイジ 最終章』が絶好調だ。
 監督・主演の北野武はもちろん、同作には西田敏行、大森南朋、ピエール瀧、大杉漣、白竜といったコワモテ俳優がズラリと顔を揃え、「全員暴走」のキャッチフレーズにたがわぬ、迫力の抗争劇を展開する。

 「もちろん、『アウトレイジ』シリーズは全部見ていましたし、監督の他の作品も大好きだったので、まさか自分が出られるなんて思いませんでした。出演が決まってからは、他の方たちのセリフも完璧に覚えたくらい台本を何度も読みましたよ。ただ、現場では不思議と緊張はしませんでした。自分にできることはやれたとは思います」
 こう話すのは、俳優の「ヒロ ホンダ」。ほとんどの人にとっては聞き慣れない名前かもしれないが、同作に出演している若手注目株の俳優である。

 ヒロが演じたのは「張会長」の部下役。今作は関東の山王会、関西の花菱会、そして、たけし扮する大友を支援する大物フィクサー・張会長(金田時男)のグループによる三つ巴の抗争が物語の主軸となっており、張会長はまさに影の主役。ヒロは、その部下として、一癖もふた癖もありそうな出演者の中で存在感を見せている。
 「想像していたよりスタッフの皆さんに笑顔が多かったんですが、そのぶん、本番での集中力も凄いんです。リハーサルも1回だけで、僕の場合は本番で台本になかったハングル文字で書かれた資料をいきなり渡され、『これを持ちながら張会長に説明して』と言われ、さすがに少しだけ焦りました。
 出番自体は短かったんですが、嬉しかったのが、本番で西田さんがアドリブを入れてくれたこと。張会長に指示され、ある取引先に英語で電話をするシーンで、セリフを言って去っていく僕を振り返り、台本になかったセリフでツッコんでくれたんです」

 西田にしてみればよくある話かもしれないが、ヒロはこのおかげで、現在の事務所に所属することになったという。
 「北野監督に実際の演技を見てもらうのは、この時が初めてで、撮影後日に知人から、褒めていただいたことを伝え聞きました。シーンが終わった後に、西田さんから褒めていただいた話も聞いたんです。それがきっかけで、北野監督の紹介で今のオフィス北野の預かりとなりました」

 とはいえ、一般的には無名の俳優がなぜ『アウトレイジ 最終章』に出演することになったのか。
 「僕はもともと、アメリカで役者を目指していたのですが、2013年の夏に帰国した時に、たまたま北野監督にお会いする機会があったんです。実は、僕の父がたけしさんとよく仕事をしていて、役者の勉強をしていることを監督に伝えてくれていたんです。
 その時はご挨拶程度でアメリカに戻ったんですが、'15年になって、北野監督がこの映画の準備に入り、張会長の秘書役でちゃんとした英語が喋れる役者さんを探しているということで『やってみるか?』と言っていただき、出演が決まりました」

 映画監督として接した北野監督からは、貴重なアドバイスも受けた。
 「シャイな方なのか、最初はほとんどお話できなかったんですが、何度かお会いしているうちに貴重なアドバイスをいくつもいただきました。特に『芸は10年、20年、時間がかかるからね』という言葉は印象に残っています。他にも『役者でやっていくなら色んなことができたほうがいい。タップダンスもできたほうがいいよ』と、目の前でタップを踏んでくれたんです。しかも、その間に何度も『偉そうに言ってゴメンね』と口にされるんです。撮影前にTBSの楽屋に遊びに行ったときには、年末特番の本番前にもかかわらず『ダンゴ食う? あっちの部屋にあるからさ』と、自分で取りに行ってくれたのも驚きました。本当に優しい方でしたね」

 ヒロが役者を目指したのは20歳の時。憧れたのはエディ・マーフィのようなコメディアンで、目指すなら憧れた本場でと決意し、貯金を下ろし、借金もして単身アメリカに渡った。
 「ロスの語学学校に通った後に、ウェスト・ロサンゼルス・カレッジという大学と、バロン・ブラウン・スタジオという演技の専門学校に通いました。カレッジでは演技の基本的な勉強を、スタジオでは、主にマイズナー・テクニックというものをみっちり学びました。
 演劇にかかわる人以外には一般的ではないかもしれませんが、演技法や演劇理論が確立されている欧米でも主流になっているメソッド演技法のひとつで、ダスティン・ホフマンやロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノといった俳優さんもマイズナーの指導を受けていて、オーナーのバロンもハル・ベリーなどを指導したそうです。3回の遅刻で退学になるほど厳しい学校でしたが、勉強したおかげで俳優という仕事がどんどん面白くなりました」

 英語も当初はほとんど話せなかったが、言葉を覚えるため、とにかく会う人、会う人に話しかけ、仲良くなることで言葉をマスターしたという。
 「おかげで仲良くなった近所のパン屋さんで売れ残りをもらったりしながら、貧乏生活を乗り切ることができました(笑)。ただ、危険なこともあって、ロサンゼルスに住んでいた時には、本当にその辺の街角に普通にギャングがいましたからね。
 ロスのアパートでは下の階にギャングが住んでいましたよ。アダムっていうヒョロッとした白人で、朝なんかに会えば普通に挨拶するくらいの顔見知りでしたが、ある日、アパートに帰ると、いきなり警官に囲まれてホールドアップされたんです。聞いたら、アダムはドラッグ密売の大物ディーラーで、傷害の前科なんかもあったらしい。この時はドラッグでの逮捕だったようで、アダムは終身刑になったみたいです。
 バロン・スタジオを卒業した後、1年間の就労ビザを取ってニューヨークに移ったんですが、そこで最初に住んだワシントンハイツという地区も治安が悪くて、近所で銃声を聞いたことが何度もありますし、道を歩けばヤク中が奇声を上げていた(笑)」

 ニューヨークでは小さな作品や舞台、テレビなどに出演して様々な経験を積みながら、オーディションを受けまくったという。
 「大きな作品では『ミュータント・タートルズ』のようなものから、インディーズの映画まで、とにかくたくさん受けました。最初はフリーでやっていましたが、様々な仕事をこなした結果、マネージャーも付きました。アメリカでは役者がちゃんとした職業として確立されているため、小さな仕事でもギャラや待遇もしっかり保証されているんです」

 『アウトレイジ 最終章』の出演が決まってからは、日本に戻って活動しており、『別れたら好きな人』(フジテレビ系)や、『マネーの天使』(日本テレビ系)、映画『あやしい彼女』に脇役で出演するなどキャリアを積んできた。
 「ただ、将来的にはアメリカに戻ることも考えていて、アメリカのエージェントからも『早くこっちに戻ってきて、また一緒にやろう』と言われています。日本の事務所にも言いましたが、将来的には、日本とアメリカの両国で活動できる役者になりたいんです。
 ゲイリー・オールドマンのような様々なタイプの役を演じられるようになりたいし、コメディーも続けていきたい。実は、アメリカにも『サタデー・ナイト・ライブ』のようなコント番組がいくつもあって、僕も一度だけ出演したことがあるんです」

 北野作品が発見した原石が、これからどんな輝きを放つのか楽しみである。

ヒロ ホンダ:本名=本多貴大。1985年8月10日生まれ、東京都出身。米ニューヨーク、日本にて映画や舞台に多数出演。『アウトレイジ 最終章』は絶賛公開中。

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