レースは大方の予想どおりシルポートがハナに立つ展開。昨年同様ハイペースで逃げるが、2番手のカレンブラック以下の後続馬にとってはスローペース。最後の直線で瞬間力勝負となるとエイシンフラッシュにとって理想の展開。ルーラーシップ、フェノーメノ、ダークシャドウが猛追するなか、下がってきたシルポートよりもさらに内から豪脚一閃。2着フェノーメノに半馬身差をつけ、2年半振りの勝利を果たした。
今年の天皇賞は7年ぶりに天皇、皇后両陛下が観戦したいつも以上に特別なレース。そんな日に勝つのはやはりダービー馬たる所以か。レースの2日前には今年のダービー馬、ディープブリランテが重度の屈腱炎のため引退を表明する残念なニュースもあったなか、先輩ダービー馬エイシンフラッシュの見事な復活劇。引退を余儀なくされた後輩ダービー馬の無念も晴らすべく見せた怒濤の末脚。最強世代と称されながら、世代の頂点、ダービーを制した馬同士の絆が呼んだ勝利と受け止めるのはロマン派の都合の良い解釈だろうか。なにはともあれ、ダービー馬の復活は競馬ファンとしてはうれしい限り。次走はジャパンカップか有馬記念か。いずれにしても役者が増え、秋のGIはますます楽しくなりそうだ。
〈プロフィール〉近藤雄亮:キャリア3年目の若手放送作家。売れっ子作家ではないため安定した生活をするには競馬の成績がカギ。今年度のおこづかい馬券の成績は現時点で回収率144%、プラス収支をキープ。Twitterのアカウントは「@minoru1202」。