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本好きのリビドー

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提供:週刊実話

◎悦楽の1冊
『「帝国」ロシアの地政学 ―「勢力圏」で読むユーラシア戦略』 小泉悠 東京堂出版 2400円(本体価格)

★露わになるロシアの軍事的野望

 ベルリンの壁の崩壊からソ連の消滅に至る冷戦終結の過程を振り返るとき、当然のようにそれはアメリカを中心とする西側陣営(一応、日本も含む)の勝利であり、ソビエト・ロシアとその衛星国家群の敗北であったと、一般的には錯覚してしまいがちだ。錯覚が言いすぎなら無条件に先入観で思い込みがち、に換えてもよいが、ロシア側の自己認識は全く違うと著者は説く。

 最終的な全面核戦争という人類最大の愚を犯さぬために、英知を尽くし、むしろ西側と協力して自壊の道を選んだと評価すべきであり、一方的に惨めな敗者扱いされる謂れも覚えもない。まして今更「民主主義」や「人権問題」について教師面で上から訓戒を垂れる欧米諸国の態度に、政治体制の不安定と経済的苦境ゆえに90年代からこれまで耐え忍んできたのがロシアである…と、こうなるようだ。

 ましてかつての“子分”だった東欧諸国はおろか、旧ソ連邦を構成していたバルト三国(三国の立場からすれば「構成」でなく「占領」されていた訳だが)までが明らかにロシアを仮想敵と見立てた冷戦期の発想のままのNATOに嬉々として加盟。とどめに人種や言語、文化の面で極めて近似し、ロシアが“ほとんど我々”と呼ぶウクライナまでもが、露骨に西側への接近を目指すとなれば…その焦りと苛立ちはいかばかりか。5年前の強引なクリミア併合の背景が明瞭に本書を通じてみえてくる。あくまで被害者意識の然らしめるところなのが見落とせない。

 巨大な国土に抱え込んだ多宗教、複数の民族を束ねる大義名分としての共産主義が否定された現在、これに代わる国家のアイデンティティーを、生き残りをかけて模索するロシア。やはり平和条約など“遙かなる山の呼び声”か。
_(居島一平/ 芸人)

【昇天の1冊】
 女の大事なところを包み隠しているアイテム…、セックスの時に脱がすとドキドキする…――男目線で見た「パンティ」とは、単純にそういうもの。だが、女性目線で見た場合、1枚の布切れにはこんなに複雑な心理が詰まっている。

 そう感じさせる1冊が、『パンティオロジー』(集英社インターナショナル/2200円+税)だ。女性がどういう基準でパンティを選んでいるのか、男の全く知らない裏事情がイラスト付きで紹介されている。しかも、いま現在、実在している一般女性たちのものや、国籍・年齢・職業も違う33人のリアルな下着が、ビジュアルにこれでもかと訴えかけてくる。一部を紹介すると、例えば、こんなパンティ…。

 日本人(31)俳優/遊びの彼氏あり。汗まみれの力仕事の日こそ、とびきりセクシーなパンティをはく。

 日本人(50)公務員、元CA、一児の母/若い頃はジュリアナでお立ち台パンツ、今は仕事中に楽なもの。

 日本人(26)歯科衛生士/交際9年目の恋人ありだが、筋金入りのアニメオタク。誰も知らないキャラ入りがお気に入り。他にもフランス人が2人いたりと、国際色も豊か。

 実物大の写真を掲載してほしかったが、さすがに無理だったようだ。だが、彩色豊かなセクシーパンティがある一方で、「こんなにダサダサ?」なものを愛好する女子もいる。それでいて、それぞれが個性をいかんなく発揮している。

 この本を男が見るのは“のぞき趣味”だろうが、そこには女の本音を垣間見ることができる。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

【話題の1冊】著者インタビュー 籠池佳茂
籠池家を囲むこんな人たち 青林堂 1,400円(本体価格)

★穏やかで正直な両親に戻ることを願っている

――佳茂さんにとって父・籠池泰典さんはどんな人物だったのでしょうか?
籠池 正直なところ、あまり情愛を感じたことはありませんでした。ただし、国を想う気持ちは本物であったと考えています。父は保守派からの影響を多大に受けていたでしょうから、悲願である教育改革を、先頭に立ってひたすら走り続けたという自負があったと思います。私は父がやろうとした教育的偉業は肯定していますし、今もその考えに変わりはありません。

――現在、両親とは断絶状態にありますね。なぜ、親子が仲違いしてしまったのでしょうか?
籠池 事実とかけ離れた中での一方的な思い込みによる政権批判は、厳に慎むべきだと考えたからです。また、明らかにこれまでの父の思考してきたポイントや見解、答えへの導き出し方とは違う、異様な変化を感じたからに他なりません。
 両親がよりによって青春を取り戻したがごとく、我を忘れて安倍政権の批判をするなど言語道断です。親子の断絶という単純構図では計れない、もっと根深い話だと考えています。

――ご両親と安倍昭恵夫人との写真が“土地値引き”があったことを決定づけたとの報道もありましたが、どう思いますか?
籠池 安倍昭恵夫人と写真を撮ったことのある民間人は数多います。それをたった数枚の写真をピックアップして、連日にわたって新聞やテレビで報道し続けたことは、常軌を逸しているとしか言いようがありません。
 土地取引については、今年の5月に大阪地裁で適法だとの判決結果が出ています。無理やり就任した名誉校長がいるから、土地取引に不当性が生じたなど、荒唐無稽なファンタジーです。私はこうしたねつ造に対しては、毅然とした立場で今後も真実を流布していきたいと考えています。

――安倍首相の演説会場で“親子バトル”が繰り広げられました。今後も和解は難しいと思いますか?
籠池 参議院選挙中の両親の選挙妨害目的の言動は最悪でした。事情を知る方ほど、怒りにうち震えたのではないでしょうか? 私が両親と和解するなど、現状では夢のまた夢の話なのかもしれません。それ程に深刻な洗脳状態だと認識するに到りました。一刻も早く、連携している人たちとの縁を切って、元の穏やかで正直な両親に戻る事を願っています。

 森友騒動は、あまりにひどく、むごい茶番劇でした。国民の皆さまにはご迷惑をお掛けした分、真実を語り続けることで帳尻合わせをして参りたいと思います。
_(聞き手/程原ケン)

籠池佳茂(かごいけ・よししげ)
籠池泰典・諄子夫妻の長男。1981年生まれ。大阪府出身。立命館大学卒。森友問題については当初静観していたが、両親・家族を支援するようになる。だが、森友問題で両親に接近してくる政治家、ジャーナリストに対し、疑問を抱くようになり、両親が彼らとの関係を断ち切ることを願っている。

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