先の夏場所で右ひざを痛め、その後カド番に転落していた大関・貴景勝。名古屋場所への出場に向け回復に励んできたその22歳が4日、無念の休場を選択したことが大きく報じられた。
報道によると、今回の休場は師匠の千賀ノ浦親方が出場を望む貴景勝に「全休した方がいい」と説得し翻意させたもの。今後は名古屋から東京に戻り、早期回復に努めていくという。
新大関から2場所での陥落は、現行のカド番制度となった1969年名古屋場所以降では武双山(元大関/2000年名古屋場所)以来これが2例目。今回の件を受けファンからは、「無理して怪我が悪化するよりはマシ」、「ちゃんと親方の言うことを聞いてくれてよかった」、「まだ若いからいくらでも挽回のチャンスはあるぞ」と励ます声が数多く寄せられている。
一方、中には「東京五輪がなければ…」というコメントもチラホラ。今回の名古屋場所に影響を与えている来年の東京五輪が、貴景勝に休場を選択させた要因の一つと考えているファンも少なくないようだ。
年6場所が開催される本場所は、開催月の第2日曜に初日を迎えるのが慣例となっている。7月開催の名古屋場所も例に漏れず、過去5年はいずれも初日が第2日曜に設定されていたが、今年は第1日曜(7日)が初日となっている。
開催を1週間前倒しした“犯人”は、来年に迫った東京五輪の開会式(2020年7月24日)。これを避けるために来年は初日が1週間早まり、その予行演習として今年も日程が1週間前倒しで組まれている。
もし通常通りに初日が第2日曜であれば、出場可否を決めるのにもう1週間、猶予があったことになる。このことを考えると、前述したファンの嘆きも致し方ないのかもしれない。
足早な初日にペースを乱されたのか、場所前の稽古中に負傷する力士(鶴竜、栃ノ心、炎鵬)も続出している。現時点でこれだと、本割では平幕・朝乃山が優勝した先場所を上回るような予想外の展開が待っているのかもしれない。