その収益構造がテレビ局の新たなビジネスモデルになるとして、関係者から熱い視線が送られているのだ。
今のテレビ局は過渡期にきている。広告収入が頭打ちで売り上げも乱高下、長期経営計画が立たず、番組制作費などの経費を絞って生き残りを計ろうとしている。
そんな折、TBSテレビはミャンマーの国営放送・ミャンマーラジオ&テレビジョン(MRTV)とテレビ放送事業で包括提携した。
報道映像を相互利用する他、TBSの映像コンテンツを提供する。
たとえば日本企業のCMを取り付け、加藤シルビアや堀尾正明らが出る『Nスタ』や膳場貴子の『ニュース23』などを放送する。
また、『半沢直樹』などのヒットドラマを売る他、抱き合わせで低視聴率に終わったドラマなどのコンテンツを販売する。
ミャンマーでテレビビジネスが過熱している理由は、同国の日本市場が広まっているためだ。周辺のアジア諸国と比べ、賃金が安く労働者も豊富で雇用しやすいことが魅力になっているという。
ヤンゴン日本商工会議所に加盟している日本企業数は60社前後。安い人件費を求めて進出する日本企業は後を絶たない。
ユニクロ、KDDI、富士ゼロックス、NEC、三菱東京UFJ銀行等が、すでに現地にブランチを設けた。
そのため、大勢の若い女性が仕事に就くために現地に集まっている。
そんな状況で出遅れているのが現地のテレビ局で、日本向けコンテンツを欲しがっており、そこに目をつけたのがTBSである。
「TBSは来年3月までに100本の番組をミャンマーMRTVに納める。これまで、海外売り上げは20億円程度だったが、'14年3月期では倍にする。日本では視聴率が低迷するTBSですが、ミャンマーの売り上げ面で“倍返し”する考えです」(テレビ業界事情通)
'14年3月期は売上げ3523億円(前期比同)、経常利益174億円(1.5%減)、純利益81億円(11.7%減)で、利益面は減少傾向だが、決算内容は大きく改善されそうだ。
迷走を続けてきたTBSも、ミャンマー進出で経営面での安定感が強まってきた。