「防衛省は今春、長崎県の相浦駐屯地に離島防衛のための陸自専門部隊を発足させるのに伴い、部隊輸送のために『オスプレイ』を佐賀空港に配備する方針ですが、地元との調整は難航しています。この事故で反対の機運がさらに高まりそうです」(地元紙社会部記者)
原因究明の焦点は、なぜ整備直後にもかかわらず墜落したのかだ。
「陸海空の自衛隊機の死亡墜落事故が、今年度、これで4件目と頻発しています。これらの事故の背景に隊員1人1人にかかる負荷が増えているのは否めません。北陸地方の豪雪で、大雪のため立ち往生した車両を救出するために自衛隊への災害派遣が発動されましたが、近年は自衛隊の任務が大きく広がり、長時間の過重労働が恒常化しているのです」(軍事ジャーナリスト)
防衛省は来年度予算の概算要求で過去最大となる5兆2551億円の計上を決定したが、2017年版『防衛白書』によると、自衛官は22万4422人('17年3月末)で、10年前と比較して約1万6500人も減っている。特に目立つのは、第一線に赴く『士』(上から将官・佐官・尉官・准尉・曹・士)が不足している逆ピラミッド型であることや、『士』の高齢化が進んでいることだ。また、防衛省・自衛隊の装備調達人員が諸外国に比べて圧倒的に少なく、業務の質も高くないとの指摘もある。
「その人員は、総兵力約22万人に対して約2000人にすぎません。兵力わずか2万2000人のスウェーデン軍の国防装備庁ですら3266人を擁しています。人員不足のため、例えば、主要装備などの仕様書をメーカーに丸投げしているのは公然の秘密です」(全国紙防衛省担当記者)
憲法における自衛隊の扱いをどうするかという議論の前に、日本は「戦える国ではない」という現実を直視する必要がある。