立憲民主党の辻元清美国対委員長が「日本一の無責任男」のレッテルを貼った麻生太郎財務相は、そんな批判もどこ吹く風で暖簾に腕押し状態だ。
学校法人森友学園の国有地払い下げをめぐり、財務省の公文書書き換えが起きた問題で、多くの財務省職員が責任を問われ、自殺者も出る騒動となった。しかし、最高責任者である麻生財務相は辞任どころか、10月に発足した第4次安倍改造内閣でも留任。本人はいまだに意気軒高だ。
この「開き直り」ともいうべき麻生財務相の姿勢を自民党関係者が解説する。
「麻生氏が暖簾に腕押し状態で開き直れるのは、安倍首相の全面バックアップがあるからだ。そこまで安倍首相が支援するのは、麻生氏が森友問題で辞めると、次の攻撃ターゲットが加計学園で即自分になってしまうから。つまり、麻生氏は『防波堤』の役割だ。“逮捕されない限り辞める必要はないですよ”と安倍首相が言い含めている」
さらに、麻生財務相を責任論で強気にさせているのが、来年10月に値上げする消費増税問題だ。
「2度の延期とIMF(国際通貨基金)が日本財政健全化には“消費税10%以上、15%の引き上げも必要”と提言している。それだけに、もう安倍政権に逃げ場はない。だから安倍首相は10月15日の臨時閣議で、来年の消費税10%を指示した。だが、国民世論はやって欲しくないという本音が大多数を占めているのは間違いない」(政界事情通)
今後は参院選や改憲論議を睨みながら、消費増税への国民不満をどうガス抜きしていくかがカギとなる。
「選挙に影響が出ないよう、食品など国民生活に直結する物には軽減税率を適用し8%のまま。キャッシュレスならば、さらに2%割引する制度を検討中だ。また、現金支給の話もあり、何としてでも参院選で自公候補に逆風が吹かないようにするのに躍起です」(同)
軽減税率対象外となる車や住宅などは、増税後に環境性能割、住まい給付などの対策がとられるという。それでも2%アップはジワジワと庶民の懐を苦しめていく…。安倍政権への不平不満は増幅する一方だ。
「庶民の怒りが頂点に達したら、麻生辞任カードを切る。それまで忍耐大臣を続けてもらう」(自民党議員)
麻生財務相は老獪だ。“消費税10%辞任”した場合も、その先を見据えている。
「今回の改造内閣で麻生派は最多の4人を入閣させた。さらに、麻生氏は同派閥に引き込みたい岸田文雄政調会長をワンポイントで首相に担ぎ上げ恩を売っておく腹。次に河野太郎外相を首相に就けての院政。ゴッドファーザー狙いです」(同)
麻生氏の魂胆に、庶民は“あっそ”。