「ストーカー行為が始まったのは、男の妻が亡くなってから。寂しかったのか、女性宅に頻繁に押しかけるようになったそうです。男は今年1月にも同じ女性への脅迫容疑で逮捕されていたのですが、止められなかったのでしょう」
2010年11月には、20代前半の女性会社員につきまとったとして、熊本市の82歳の男が同法違反容疑で逮捕された。男は無職で結婚歴がなく独り暮らしだったという。また、その前年にも、知人の60代の女性宅にアダルト雑誌を繰り返し投げ込んだとして、金沢市に住む80歳の男が同法違反容疑で逮捕されている。
先ごろ警察庁のまとめで、60代以上の高齢者ストーカー犯罪が急増し、'13年が1919件で10年前の約4倍に増えたことがわかっている。なぜこのような状況になっているのか。
ジャーナリストの窪田順生氏が言う。
「日本人は仕事一筋で打ち込んできた人が多い。70歳になっても一生懸命働く。ところが、会社にとって用無しになってしまうと、自分の承認欲求を他に求めるが、それもうまくいかず女に求める。知り合った女性にちょっと優しくされると、もっと愛してとエスカレートしていく。組織に属していた頃は抑止力も働いたが、リタイアして10年以上過ぎると、その判断もつかなくなり本性を剥き出しにして逮捕されるんです」
海外には人生を楽しもうというリタイア文化があるが、日本にはそれがない。
「ボランティアでも何でもいい。身の丈にあったものを見つけて、そこに存在感を見出すことです」(同)
先を見越す心掛けも大事ということか。