search
とじる
トップ > その他 > 物がゆがんで見える…“老化”が引き起こす怖〜い「目」のお話(1)

物がゆがんで見える…“老化”が引き起こす怖〜い「目」のお話(1)

 加齢性黄斑変性症(かれいせいおうはんへんせいしょう)と言われても、耳慣れない病名で、ぴんと来ない方も多いだろう。その名の通り、加齢にともなって眼球の奥にある網膜の中心部“黄斑”に変性がおき、働きが悪くなる病気。放っておけば失明に至り、米国の成人では失明原因の第1位に上げられている。わが国では昔はみられなかったものの、最近は中高年者に増え始めている。生活習慣病、IT社会での目の酷使などによって、失明の危機が身近に迫っている。
 目の網膜自体は物を映し出すフィルムのような組織で、中でも解像力に優れ、その中心的役割を果たす部位が黄斑部である。ここには、物を見るのに必要な「視細胞」がぎっしりと並び、常に光や色をキャッチしている。
 しかし50歳を過ぎ、目の組織が老化し始めると、黄斑部の視細胞に栄養を届ける組織が縮んだり、網膜の外側にできた毛細血管ともいうべき「新生血管」が網膜に入り込み、物を見る視細胞の働きを妨げる変性症を引き起こす。
 眼科の専門医によれば、かなり恐ろしい症状をみせるそうだ。
 「変性症になると物がゆがんで見えるようになります。たとえば、信号機がぼやけたり、曲がって見えたりする。さらに視力が著しく低下して、見たい部分の中心が暗く見えたりもします」

 見え方にこれだけ変化が起きるので、当然視力の異常さに誰もが気付くはず、と思うが「それは間違い」と専門医は言う。
 理由は、加齢性黄斑変性症は片目に起きるので、もう一方の正常な目が悪くなった目を補ってしまうためだ。つまり、異常が起きても自分は正常だと思い、気付きにくいというわけ。
 「この症状が起こる黄斑には、視力に関係する重要な細胞が集中しています。ですから治療が遅れると失明につながるし、そこまでいかなくても視力低下が著しくなり、当然のことながら生活の質(QOL)も変わってしまいますね」
 こう発言するのは『もちづき眼科クリニック』の望月重利院長だ。さらに「視力ですが、今まで1.0以上あった視力が0.1ぐらいに落ち込むことも珍しくありません」と言う。

 では、その治療はどのように行われるのだろうか。
 最大の原因である“老化”は、どんな治療を施しても止めることはできない。問題は、放っておくとどんどん増え続ける新生血管。それを取り除く作業に重点を置かざるをえないが「治療法は容易ではない」そうだ。
 まず治療の前に、精密検査で新生血管の伸びている範囲を正確に把握しなければならない。治療法は手術やレーザー治療、薬物治療、放射線治療などいろいろあるが、どの方法をとるかも大切。新生血管のできている位置によって決めることになる。
 今の段階では効果が高く、治療の主流になっているのがレーザー治療だ。しかしその場合も、新生血管が黄斑部に接近していると、レーザー光線で網膜を傷つけてしまうこともあるため、かえって視力低下を引き起こす危険性もある。
 ただ、レーザー以外の治療法は、いまだ不確実といわれている。
 「ですから視野に現れる症状に注意しながら、異常を早く発見することが何よりも大切になってきます」(望月院長)

 日本眼科学会の別な専門医は、簡単な視力チェック法について、次のように話してくれた。
 「インターネット上でも紹介されていますが、アムスラーチャートという格子状の表を用います。市販のグラフで代用してもいいんですが、30センチほど離し片目ずつ見る。老眼や眼鏡はかけたままで構わないですが、ここで線がぼやけたり、中心が歪む、もしくは暗く見えたり部分的に欠けて見えるようなら、眼科医で検査を受けてください」

その他→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

その他→

もっと見る→

注目タグ