「最下位争いの真っ只中にいるレッドソックスですが、チーム再建は急務。2、3年後を見据え、世代交代を念頭に入れたベテランの放出も避けられません」(米特派記者)
レッドソックスはア・リーグ東地区4位。ライバルで3位のヤンキースとは3ゲーム差だが、チーム打率2割4分7厘(同5チーム中4位)と奮わず、野手陣の世代交代が最重要テーマとなりそうだ(2014年6月10日現在)。
「上原は“売り時”かもしれません。来季は40歳を迎えるわけですし、年齢的に見れば、レッドソックスも残留提示が出しにくい。救援投手陣が手薄なチームなら、買い手は付くでしょう」(前出・同)
このシーズン中のピンポイント・トレードは年中行事なので、米30球団が獲得可能な選手をリストアップしている。上原のように実績のあるクローザーはどのチームも欲しい。ア・リーグ中地区首位のタイガースはネイサンがクローザーを務めているが、こちらも39歳でシーズンインしており、夏場の連戦に備えて“もう1枚欲しい”と考えている。救援投手層の厚いジャイアンツ(ナ・リーグ西地区首位)以外は「上原に興味を持っている」と見ていいだろう。
上原は安定した需要人気がある一方、イチローのトレード話は前途多難だ。
「ヤンキースが欲しいのは先発投手。でも、イチローの扱い方が難しい。序盤戦はレギュラー外野手の故障でイチローがスタメンに使われる試合もありましたが、昨季後半からは『守備要員』です。ただ、V戦線にいるチームのなかで外野手を欲しているチームはない。かといって、650万ドル(約6億5千万円)の守備要員を残留させるほど、ヤンキースもカネがあまっているわけではありません」(メジャー解説者の1人)
過去にもヤンキースは、高額年俸のベテランを他球団にシーズン途中で放出してきた。その際に、ベテラン選手の年俸を“シーズンの残り月数”で割り、「その月給分の半分を自分たちが出してもいい」と相手球団に譲歩している。つまり、放出選手の年俸を一部肩代わりして、割引販売するのだ。イチロー放出論が尽きないのは、先発投手人材難がいかに深刻な問題かを表す指標のようなものだが、優勝争いをしているチームの大半は外野手が飽和状態。よって、有事の際は複数トレードになるとの見方が多いという。
「松坂大輔を評価するチームが多い。メッツは先発要員のスペアとしか見ていないが、好条件での移籍もあり得ます」(同)
イチローにはヤンキースを見返すくらいの気概も見せてほしいが、今夏は日本人同士の交換トレードも成立するかもしれない。