日本では輸入車の好調が伝えられる一方、見方によっては1割近くもシェアを落としたドイツ車は一人負け状態なのである。
高級品を求めるユーザーの嗜好も、隣家のクルマとは違うデザインやブランド、機能を求めてより一層多様化していることが、ドイツ車のシェア低下から見えると自動車アナリストは指摘する。
ところで、世に片思いのタネは尽きないが、日本とドイツの関係も日本の「片思い」だ。世界でベートーヴェンの『交響曲第9番』を大喜びで鑑賞しているのは日本人だけで、なぜかドイツ物が好きだが、ドイツのメディアの日本報道は、無知で悪意に満ちあふれているという。
「中国に対する報道は極めて好意的です。中国と韓国の見解を事実として取り上げ、日本の主張については全く無視するのがドイツメディアの特徴です。ドイツと中国は今や蜜月時代で、中国のプロパガンダが行き渡り、日本に関する報道は歪曲されまくっています。ドイツメディアの尖閣や竹島、日中・日韓の歴史問題に関する記事は、中韓の言い分の鵜呑み、日本の主張は完全に無視するどころか、著しい事実誤認ばかりです。例えば、12年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥博士のことはほとんどニュースになりませんでしたが、15年に同賞を授与された中国の屠呦呦博士については、もう僻壁するくらいニュースになっていましたね」(ドイツ在日本人ジャーナリスト)
そういえば弾劾され、今は獄中の朴槿恵前韓国大統領の“悪友”も娘とともにドイツ在住だった。ドイツにとって日本は、世界中でほとんど唯一のライバルだ。日本の好調は嫌悪しかない。だから常に攻撃の矛先は日本に向く。ドイツ好きの日本人は少なくないが、ドイツは日本が嫌いで、ウマがあうのが中韓というわけだ。
「中国企業がドイツのハイテク企業の買収に乗り出し、世界4大ロボットメーカーのひとつ『クーカ』まで手に入れました。ドイツ財界の一部から警戒感が生まれたものの全体の流れを変えるほどでもありませんでした。旧東独出身のメルケル首相は、旧ソ連流の反日教育が刷り込まれていると見え、大の親中派で、過去の発言や訪日回数の少なさをみても間違いなく反日です。ドイツ人のアンビバレントな思考方法は、第2次世界大戦はヒトラーに騙されただけ、という都合のよい歴史観で、日本のように戦争被害国に対して補償などは一切行っていません。それどころかポーランドなどに残したインフラやドイツ人の財産を返せとまで言っている。日本が満州や朝鮮半島に残したインフラ、個人資産の返還を求めないのとは正反対です。ドイツ人気質は、中国マネーや中国市場のような巨大なものには抗えません。『民主主義の優等生』は『自由から逃亡』し、中国になびいたのですが、今そのツケが回り始めました」(国際ジャーナリスト)
日本人のドイツ好きは「日独伊三国同盟」によるところが大きい。ただし日本はドイツと組みながら、ただの一度も同じ戦場で戦うことはなかった。当時も今も片思いのままだ。