その開幕戦、エース菅野智之を投入して万全を期すところだったが、マウンドに立ったのはマイコラス。2、3戦目は田口麗斗、大竹寛。そこから透けて見えるのが、巨人・高橋由伸監督と中日・森繁和監督による“DeNA包囲網”だ。
「両監督は今季、最も警戒すべきチームに、昨季、11年ぶりにAクラス入りしたDeNAを挙げています。5年間球団を率いた池田純前球団社長のチーム改革が着実に進み、他球団を警戒させています。一方、25年ぶりにリーグ優勝した広島は、連覇となれば選手年俸がさらにかさみ、財政的に逼迫する恐れがある。『今年はAクラスで十分』が本音で、それを見透かされているのです」(スポーツ紙デスク)
共闘が見て取れたのが、3月27日に横浜市で開かれた『セ・リーグファンミーティング』での一コマだ。5監督が開幕投手の名前を明かす中、高橋監督だけ公表を辞退。巨人は中日が呼び掛ける「DeNA包囲網」の共闘に応ずるかどうか、決めあぐねていたのだろう。
すると、「先発は大野」と発表した森監督が、すかさず一撃。「巨人が決めていないのなら、うちも変えます」とジャブを放ち、「菅野と聞いていましたが、WBCであれだけ投げた。私が監督ならゆっくり次のカード(DeNA戦)にいってもらいます」と凄みを利かせ、優柔不断のエリート監督に決断を促したのだ。
これが効いたのか、高橋監督は同日夜に開かれた財界人の巨人激励会『燦燦(さんさん)会』でマイコラス起用を公表。
「菅野は開幕戦へのこだわりを示してくれたが、WBCの負担が非常に大きいと判断し、次のカードのDeNA戦の頭(4月4日)にした」と明らかにしたのだ。
巨人にすれば、中日とともにDeNA戦にエースをぶつけ、開幕ダッシュを阻止することは利得も大きい。どちらにしろ中日は最下位候補。恐れる相手ではない。
一方、DeNAは昨年11月、同社が運営するまとめサイトで無断転載や不正確な記事が明らかになり、株価と信頼が失墜している。
「創業者の南場智子氏が再び代表取締役に復帰し、立て直しを図っているが、いまだ株価は戻っていません。そこで、ベイスターズの快進撃に社運を賭けるはず。巨人が中日の誘いに乗ったのは、そんな警戒心もある」(大手紙社会部記者)
DeNAの頭脳だった谷繁元信捕手をFAで獲得した中日は、監督も任せ、DeNAを丸裸にしてきた。しかし昨年、森監督が師事する落合GMとの確執で谷繁氏は解任。中日のデータが暴かれ、森監督は疑心暗鬼に陥っている。
開幕カードで3連敗を喫する以上に、憎っくき相手がDeNAだ。その中日に塩を送られる形で横浜に乗り込んだ巨人は、お約束通りエース菅野を予告先発。
しかし、寝業師・森監督のこと、当然、次の一手は用意されているはずだ。