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友成那智 メジャーリーグ侍「007」 ダルビッシュ有に関する7つのQ&A

 先月29日(日本時間)、ダルビッシュ有がようやく復帰した。5月1日から22日までの間に2Aと3Aで計5度も先発してからようやくメジャーに呼ばれたのは、レンジャーズの先発投手陣がいつになく好調だったからだ。6人ローテーションでまわす可能性もあったが、結局先発5番手のラモスをロングリリーフにまわして、通常の5人ローテでいくことになった。
 そのダルビッシュに関しては、いくつか懸念されていることがある。

■トミージョン手術のダメージはどれくらいあるか?
 マイナーでのピッチングを見る限りでは、手術のダメージは予想よりずっと少ない。逆に速球のスピードが平均2キロくらいアップしている。
 ダルビッシュ以外の日本人投手でトミージョン手術を受けたのは大塚晶文、田澤純一、松坂大輔、和田毅、藤川球児の5人だが、復帰後に球速がアップしたのは田澤だけだ。
 田澤は20代前半で同手術を受けたので、復帰後スピードがアップする可能性は多分にあった。しかし、ダルビッシュは手術時にすでに28歳になっていたので、球速がアップするよりダウンする確率の方がはるかに高かった。球速がアップしたことは大きな幸運に恵まれたとしか言いようがない。

■球数制限は100球?
 オールスター休みに入る7月中旬までは90球を目安にし、極力100球を超さないような使い方をされるだろう。それ以降は100球の枠が外れ、好調時は115球くらいまで投げることもあるだろう。レンジャーズはリリーフ陣が弱体で、先発陣になるべく長いイニングを投げて欲しいからだ。
 楽しみなのはオールスター休み以降のピッチングだ。トミージョン手術から復帰後、球速が上がった投手でも、ダルビッシュのように初めから2キロもアップするケースはそう多くない。田澤純一は復帰後、球速が5キロくらいアップしたが、復帰当初は以前と同じレベルのスピードで、シーズン終盤に近付いてから少しずつ球速がアップした。それを考えると、ダルビッシュの速球はポストシーズンが始まる頃、今以上に球威が増している可能性がある。

■投球スタイルが変わる可能性は?
 メジャーでのダルビッシュの評価は「スライダー王」だ。曲がりの大きいものと小さいものを使い分け、三振の山を築くというイメージがあるからだ。マイナーでの登板では、速球で押していくケースが多く、スライダーの比率を減らしていた。しかし、これはテスト登板の意味合いが強いからで、ハイレベルなメジャーの打者を封じるには、要所要所でスライダーを使う必要がある。スライダーで空振りを誘うには、見せ球で使う速球に威力がないとダメだ。球速が平均2キロアップしたことは大きな意味を持つ。

■エースとして扱われるか?
 レンジャーズはダルビッシュが長期欠場している間にコール・ハメルズを獲得してエースに据えた。ハメルズは通算126勝の実績があるフィリーズの元エースで、今季も5勝0敗、防御率2.83というハイレベルな数字をマークしている(5月26日現在)。よって当分エースはハメルズで、今季、ダルビッシュが21回か22回の先発で12勝以上と2点台の防御率を出せば、右のエース・ダルビッシュ、左のエース・ハメルズという言い方になるだろう。

■中4日で投げることに?
 レンジャーズはダルビッシュの復帰に合わせて6人ローテーションにすることができたが、それをやらなかった。そのため基本的に中4日で使われることになる。ただダルビッシュは夏場にバテてくる可能性が高いので、1度か2度、登板を飛ばす措置が取られるだろう。レンジャーズは先発3番手で36歳のコルビー・ルイス(元広島のルイス)が終盤へばることが予想されるので8月以降、6人ローテに移行する可能性がある。

■ずっとレンジャーズで投げるのか?
 レンジャーズとの契約は2017年までだ。メジャーでは長期契約が切れる前年の7月末にトレードされるケースがあるが、ダルビッシュに関してはそうなる可能性はほとんどない。レンジャーズが終盤まで優勝争いをするのは確実だからだ。
 レンジャーズと'18年以降も長期契約を交わすか否かは予測が難しい。ダル自身はチームへの愛着があるように見えるが、テキサス州ダラスは日本人選手が暮らしたがるところではない。来年の早い時期に下交渉が始まるだろうが、ダルが残留の意思を見せなければ、シーズン終了を待たず、来年7月末のトレード期限前に放出される可能性が高くなる。

■最大の課題は何か?
 ダルビッシュは同地区のアスレチックスとマリナーズを苦手にしている。今季はマリナーズとレンジャーズが最後まで優勝を争う可能性が高くなっているので、マリナーズ戦では結果を出さないといけない。

ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。

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