「黒田は5月15日から計5回先発していますが、『中6日』の登板間隔を守っていました。それが復帰最多となる8回を投げた6月12日の後は、『中6日』で出てきませんでした。7月から8月はどの先発投手も疲れてきます。黒田の場合、長いイニングを投げた疲れはもちろんですが、蓄積疲労も少し早く出たようですね」(在阪球団スコアラー)
緒方孝市監督は、黒田を先発ローテーションから1度外したわけだ。
「球宴までの1カ月は無理をさせず、後半戦に備えさせるつもり」(前出・記者)
広島浮上のカギを握っているのは、黒田と前田健太(27)だ。優勝候補の筆頭に挙げられながらも、緒方監督が開幕ダッシュに失敗した理由は打線の低迷だが、「昨季本塁打王のエルドレッドが復帰し、シアーホルツも日本の投手に慣れてきた」(球界関係者)との評価も聞かれる。「立て直すべきは、むしろ投手陣の方」なる声もある。
「緒方監督は最終的に、大瀬良大地をクローザーに回すつもりです。防御率2点台の先発投手は黒田、前田とジョンソン。中継ぎ投手が弱いので、彼らは長いイニングを無理やり投げようとしている。その反動が出そう」(前出・スコアラー)
球宴で投げた投手は、その次は「中2日」で出てくるのが“慣例”だ。原監督が黒田を球宴第2戦(18日)に回せば、中2日で、最初のカードの中日第2戦(21日)に出てくる計算。
しかし、第1戦に投げさせると、巨人にすればブミキさが増す。というのも、緒方構想では、「黒田をメジャー時代と同じ中5日で投げさせ、7回以降は救援投手に託す」やり方に変更したいと思っている。メジャー時代の中5日が体に染みついており、疲れもたまらないとみているからだ。第1戦に投げさせると、球宴明け初戦の20日中日戦、そこから中5日を計算すると、次の巨人3連戦の3試合目(26日)に黒田が出てくる。
緒方監督にすれば、本拠地6連戦を勝ち越し、上位浮上といきたいところ。それを原監督が阻止するには、やはり黒田を球宴第2戦まで温存すべきなのだ。
「前田も第2戦に温存するのでは? 前田も中日戦に回れば、2人とも巨人戦には投げません」(関係者)
緒方監督はコーチで球宴ベンチに入るが、采配の権限はない。全ては原監督の手中にあるというわけだ。