お寺プロレスは伊達直人現象を克服するか

社会 2011年01月28日 09時00分

 閉塞感漂う日本社会に感動をもたらした伊達直人現象に先行する動きが、プロレス界にも起きている。プロレスとチャリティを組み合わせた団体・お寺プロレス(雫あき会長)である。これは感動の陰で底の浅さも指摘される伊達直人現象の弱点を克服できる可能性がある。

 お寺プロレスは、学生プロレスの現役やOB、OGを中心に結成された慈善事業ユニットである。プロレス興行で募金を集め、福祉施設に寄付する。今年の1月からブログやツイッターを開設して情報発信を行っている。

 お寺プロレスの原点は、埼玉県越谷市の慈眼寺で2010年8月9日に実施した慶應義塾大学プロレス研究会(KWA)のチャリティ学生プロレスである。そこでは悪事(反則)の限りを尽くした悪役レスラーを最後は善玉が倒すという、勧善懲悪のわかり易い試合が展開された。会場で集めた約15万円の募金は、親のいない子供がいる乳児院に寄付された。

 伊達直人現象は、『タイガーマスク』の中の人である「伊達直人」を名乗る人物が、養護施設にランドセルを寄贈したことが発端である。このニュースが報道されると、全国各地で「伊達直人」や「矢吹丈」が続出した。この伊達直人現象には一過性の自己満足という批判があることも事実である。

 日本は諸外国に比して慈善精神が希薄である。それは日本社会の宗教性が希薄であることが要因である。諸外国ならば宗教的活動として自然に寄付するところである。ところが、伊達直人ら漫画のキャラクターに仮託しなければ寄付できないところに、日本社会の底の浅さがある。

 この点で、お寺プロレスは「お寺」を掲げるために自然に慈善と関わることができる。チャリティ興行という形で活動モデルが明確であり、一過性批判も回避できる。「お寺」と「プロレス」は斬新な組み合わせであるが、日本の伝統的な格闘技である相撲も、元々は神社に奉納されていたものである。慈善を媒介にした寺院とプロレスの組み合わせは、双方の活性化が期待できる。
(林田力)

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