3月15日から26日の期間限定で、六本木ヒルズヒルサイド2Fにある「ヒルズカフェ/スペース」に、歴代の『ジャンプ』バックナンバーが一挙に展示される。これを受け、ネット上では「入場無料なんて太っ腹だな」「1日中いられそう」といった声が聞こえる。
一方で、同誌は「ジャンプシステム」と呼ばれる編集方針を取ってきたことでも知られる。雑誌に沿った作風の変更、アンケート至上主義、専属契約など、漫画家にとっては酷な制度とも言われてきた。歴代の『ジャンプ』には作家たちの苦悩も刻まれているのは確かだろう。
「『ジャンプシステム』でもっとも知られているのは、10週打ち切り作品でしょう。読者からのフィードバックであるアンケートを重視し、そこで人気がなければ、掲載位置がどんどん後ろにずれていき、最悪の場合10週で打ち切られてしまうものです。ただ、漫画作品は連載開始時には、ペン入れは2〜3週分、コマ割りや構図を記したネームと呼ばれるラフスケッチは4〜5週分できているのが常です。初動で人気のない作品はそこから修正をかけても、なかなか人気回復にはつながらないでしょう」(漫画誌編集者)
新連載は立ち上げの時点で、失敗が許されないといっても過言ではないだろう。なかには、途中で軌道修正が可能なように「保険」がかけられる場合もある。
「90年代の黄金期ジャンプを支えた井上雄彦による『SLAM DUNK』は、バスケット漫画の前例がないということで、この路線で失敗したならば、王道のヤンキーバトル漫画になる予定だったようです。主人公である桜木花道の不良仲間のキャラクターがやたら立っているのは、そのためともいえるでしょう。ところが、作品は大ヒットし、現在は作者と集英社によって、高校卒業後もバスケを続ける人間を対象とした『スラムダンク奨学金』が作られるほどです」(前出・同)
『ジャンプ』のテーマは「友情・努力・勝利」であるが、その裏には作家たちの血と汗と涙が刻まれているのも確かだろう。