売り上げを5割も伸ばした首都圏のテレビ局の勢いが止まらない。
東京キー局の最後発、東京メトロポリタンテレビ(MXTV)のことだ。ゲストが生本番中に「お○○こ発言」をし、降板させられる騒ぎが起きたことでも知られる。
同局がこのほどまとめた'13年3月期中間決算('12年4〜9月)では、売り上げが69億9700万円(前年同期44億300万円)で前期比159%、経常利益が7億3900万円(2億2100万円)で334%、純利益が4億2000万円(1億4300万円)で293%と派手な伸びである。
通期の売り上げも127億6000万円、経常利益13億500万円、純利益を6億4400万円見込んでいる。
「たしかに分母は小さいが、前期の半分以上の売り上げを上乗せしたのは奇跡というしかない」(ライバル民放幹部)
目下、民放キー局は不景気風にさらされている。食べ歩きと、ひな壇芸人が大勢出るバラエティー番組を中心に番組制作費を減らし、なんとか経営を維持している。
では、東京MXTVの場合は、いかにして稼いでいるのか。
局側は「スポーツ番組の売り上げ拡大、それに放送料金の改定」を理由に上げるが、実はダボハゼ商法というのが本当のところ。
まずは約3倍伸ばしたイベント収入。
「福岡ソフトバンクの中継が62試合で、これにスポンサー、視聴者がついた。またバーチャルアイドルの初音ミクのライブなども貢献している」(MXTV関係者)
他に、東京スカイツリー・サテライトスタジオからの『おしあげNOW』などもスタートさせた。地元密着型でスポンサーがつきやすいという。
骨董品や美術品の通販も行い、従来の売りだったアニメ番組も24本編成になるなど、すべてのジャンルがうまく連動した結果とみてよかろう。
もともとボロテレビ局だったものを見事再建した人物こそ、元FM東京社長を経験し、日本一のFM局に育てた後藤亘会長(元FM東京会長)である。
「ドンがまた動き出しています。FM東京が中心になって進めているデジタルラジオでひと儲けしようとしているのです。これは、地上デジタル化で空いた周波数を使うマルチメディア放送で、AMラジオ局や既存のFM放送も経費が安いので乗り換える兆しです」(ラジオ業界事情通)
東京MXTVの営業手法を盗もうと、他局の幹部もひんぱんに酒を酌み交わしているそうだ。