米大リーグのゼネラルマネージャー(GM)会議が先日、フロリダ州オークランドで開催された。今オフにポスティングシステムを利用して大リーグ挑戦する大谷獲得へ各球団が腹の探り合いを展開する中、大谷の代理人ネズ・バレロ氏が機先を制する発言をし、一気に流れが変わった。
「ショウヘイは二刀流を続けることを希望している」
各球団は165キロの投手力を重視するあまり、「先発ローテーションを用意」「打者は諦めさせる」としていたが、バレロ氏の発言でチーム方針を変更。「打者併用OK」に切り替えたのだ。
現地の報道によれば、ヤンキースは「(従来より1人多い)6人で先発ローテを組み、週に2日DHで出場」と提案。ドジャースは日本ハムを参考に「年間20試合くらい先発(通常の先発ローテーション登板は年間30程度)させ、他の期間は代打とDHで100〜110打席起用」。DHのないダイヤモンドバックスは「先発以外の日は代打とDHで毎日野手起用」。フィリーズに至っては「右翼手として先発出場させ、9回に抑えで起用」というプランをぶち上げたという。
「ワールドシリーズ制覇を目指す強豪球団は、『二刀流選手を実戦で起用しながら育てる余裕がない』としてきたが、大谷サイドの“メジャー二刀流宣言”でそうもいかなくなった。大谷の入札金は上限2000万ドル(約22億円)。この額ならどの球団も出せる。決めるのは大谷の意思次第。大谷の希望に沿う“二刀流プラン”を提示するかが決め手となる」(スポーツ紙デスク)
流れを作ったのは、大谷の勇気ある決断だ。25歳まで、あと2年待てば100億円とも200億円ともいわれる金額が手にできるのだ。
しかし、25歳未満の海外選手と契約する際は、マイナー契約という規則から、来季の大谷の年俸はメジャー最低保証の54万5000ドル(約6000万円)。常識的には考えにくい選択に踏み切ったのは、一にも二にも二刀流を貫くためだ。
「2年待ってMLB入りすれば、夢のような大金は手にできても“投手一刀流”は避けられません。松坂大輔、ダルビッシュ有、前田健太が期待にたがわぬ成績を収め、大谷にもエース級の働きが期待されています。ですが、6000万円程度の年俸なら、二刀流で失敗しても損はない。日本ハムに支払う入札金22億円だって、大谷が投打で出場すれば元は取れるし、負担が大きいようなら、どちらかに専念させればいい。大谷が23歳で渡米する狙いは、そこです。それだけ二刀流に自信があるのでしょう」(大谷と親しい野球解説者)
どのMLB球団と契約しようと、メジャー登録が3シーズンに達すれば、大谷には年俸調停権が与えられ、保有権を持つ球団と年俸の交渉を行うことができる。“スーパー2(飛び級)制度”もあり、活躍次第では2シーズンでも可能という。
大谷のロマン溢れる選択は、米国でも好感を持たれている。いよいよ海を渡る“二刀流”は、どんな結果を残すのか。