アノ人とは、黒田博樹投手(39=ニューヨーク・ヤンキース)のことだ。
「ヤンキースの先発投手陣の中で、最後までローテーションを守ったのは黒田だけ。野茂英雄氏以来となる日米通算3000イニングを達成、日本人初の5年連続2ケタ勝利。年齢を感じさせないどころか、むしろ凄味が増してきた感じです」(現地特派記者)
今季は11勝。当然、ヤンキースも黒田に残留のオファーを出すつもりだが、当人はシーズン終了時の会見でこうこぼしていた。
「自分なりにいろいろ考えないといけないこともある。それは去年以上にというか、例年以上に難しい」
近年、黒田は単年契約を結んできた。本人の希望であり、そこには「いつも最後だと思って投げている」「1年1年が勝負」という気概があってのことだが、古巣帰還も意識していた。
「黒田が古巣の広島での引退を考えていることは、米国でも有名です」(前出・特派記者)
田中将大投手との“161億円契約”など大型補強で今季に臨んだヤンキースは結局、プレーオフ進出さえ逃した。来季こそ地区優勝&ワールドシリーズ制覇が至上命令となる。シーズン終盤からチーム補強プランも語られてきたが、ジラルディ監督はチームの大黒柱である黒田の去就について質問され、こう答えている。
「ヒロ(黒田)がどんなプランを持っているのか、誰もまだ知らない。オフに話し合いを持つことになるだろう。来年もメジャーで通用することは間違いないと私は確信している。だが、それは彼が投げたいと思うのかどうか、その意思にかかっている」
また、地元メディアもデレク・ジーターの引退を引き合いに「クロダが去るときは、試合前のセレモニーが行われないのかもしれない」と微妙な言い回しをしていた。要するに、ヤ軍首脳陣もファンも、今オフの広島帰還を既成事実として覚悟しているようだ。
「広島の渉外担当もオフになると毎年のように渡米し、黒田と接触してきました」(NPB関係者)