走る前から、すでに“勝負あり”だったのかもしれない。混戦が予想された朝日杯FSは、ゴスホークケンのひとり舞台となった。
8分の1の抽選をくぐり抜け、無事に出走にこぎつけただけでも幸運だが、枠順も先行馬にとって絶好の1番枠を引き当てた。「自分でレースをつくれる馬なので、外枠だけはイヤだった。1番枠はいい枠だと思いました」と斎藤誠師。
レースはその最内枠から目の覚めるようなロケットスタートを決め、終始マイペースでレースをけん引。十分な余力を持って直線に向くと後続をグイグイ引き離し、終わってみれば2馬身半差の圧勝だ。上がり3F35秒2は、もちろんメンバー最速。まさしく“完勝”だった。
「強かった。すごく気持ちいいです。新馬戦は見ていたけど、衝撃的な強さだったので、自分が乗れるなんて…。夢なら覚めないでくれって感じです」と勝浦騎手。主戦の田中勝騎手が香港へ遠征中のため、急きょ回ってきた代役を見事に演じ切った。
「ハナにはこだわっていなかったけど、思ったよりスタートが良かったのでスンナリ先手が取れました。楽なペースだったので、自分から少し動いていきました。ゴールの瞬間はうれしかった」と照れくさそうに話す姿が印象的だった。
一方、開業2年目でGI制覇の偉業を成し遂げた斎藤誠師も破顔一笑だ。「前走は自分の調教ミス。体重はあまりかわらないけど、今回は中身が全然違う。直線は一番ドキドキするところだけど、マイルなら脚は衰えないだろうと安心して見ていられました。一生懸命やってくれたスタッフにも感謝しています」
今後について白紙だが、「現状ではマイルがベストだと思うけど、距離は伸びても大丈夫だと思っています」と師。マイル路線に進むのか、はたまたクラシックに名乗りを挙げるのか。この強い2歳王者からますます目が離せなくなった。