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トヨタ、ホンダ、ススキ、スバル… 自動車メーカーがしのぎを削る「自動運転」ここまで進化した!(2)

 外国車を見てみると、安全性で定評のあるメルセデス・ベンツが、さらにこの機能を進化させている。全車速は0〜200キロまで対応、先行車が発進すれば自車も自動発進、さらにはレーンを自動判別し、ハンドルまで自動で切ってくれるというから驚きだ。
 国内の高速道路で200キロの定速走行は現実的ではないが、それにしても国産メーカーが軒並み約100キロを上限にしているのはなぜなのか?
 「警察庁は新東名や東北道の一部区間で、今までの最高速度100キロから120キロへの引き上げを検討し始めました。実施されれば、約100キロが上限となっている国内メーカーのACCの速度設定では最高速度に満たなくなります。国土交通省では『設定速度は明確な基準値を定めているわけではなく、どのレベルにするかは各メーカーの判断に任せています』と言っていますが、メルセデスのように200キロの速度設定をする国内メーカーはありませんから、いわゆる業界の横並びの自主規制と言えるでしょう。速度設定の引き上げは法規改正後に解禁されると思います」(前出・自動車雑誌ライター)

 実際に安全運転支援システムを搭載した車を購入したドライバーに話を聞いた。今まではトヨタ車一筋だったという会社員のSさん(53歳)は、先月、スバルの『アイサイト』が目当てでプリウスからレヴォーグに乗り換えたという。
 「トヨタにも同様のACC機能が付いてはいるのですが、アイサイトには驚かされました。極端な話、一度ACCをセットすればあぐらをかいて運転できるほど。もちろん実際にはやりませんけどね。他にもデュアルカメラが車両以外にも歩行者や標識まで認識して注意を促してくれるので、見落としが本当に少なくなりました。急に子どもが飛び出してきたことがあったのですが、自動ブレーキが作動し、間一髪セーフでした。交通量の多い住宅街に住んでいるので、購入したかいがあったと思っています」

 自営業のHさん(72歳)は仕事柄、週に数回は車を運転するが、最近は判断力も鈍くなり家族から運転免許の自主返納を勧められていたという。
 「もともと車を運転するのが好きでね。仕事と言ってもちょっとした配達程度なんですが、気晴らしにもなっていたんです。しかし、年のせいか狭い路地で車をこすったり、標識の見落としや飛び出しなどでヒヤッとすることもしばしば。家族からは『いいかげんに運転をやめて』と懇願されていました。ある日、たまたま知人が購入した新車に乗ってビックリ。バック時にはモニターに車の後方が映るし、障害物に近づくと警告音が鳴るじゃないですか。これならうっかりぶつけてしまうこともないのではと、妻と相談し、車を買い換えることでもう少しだけ免許の返納を伸ばす許可をもらいました。老年世代にこそ、こういった最新技術の恩恵が受けられるのではないでしょうか」

 一方で、安全支援システムを過信することに警鐘を鳴らすドライバーも。
 「国産車ではもはや一歩抜きん出ているアイサイトですが、注意も必要ですね。他社メーカーにはカメラとミリ波レーダーを合わせて障害物を感知するものがありますが、スバルの場合はデュアルカメラのみです。レーダーを使わないので、大雨の日や霧など人間が目視しづらい状況ではカメラも同じ状態に陥ります。このようなときに装備だけに頼ってしまうと、いざというときに制御が効かなくなる場合もあるので注意が必要ですね」(43歳・会社員Iさん)
 使用状況や環境によって機能が制限される場合もあるので、あらかじめ確認しておくことが肝心だと言える。

 国土交通省のASV(先進安全自動車)推進検討会では、1991年から5年毎の推進計画を進め、2015年までにすでに第5期が終了している。当初は開発目標の設定からスタートしたが、今後はASV車の公道総合実験など、さらなる発展的な事業計画が予想されている。また、毎年減少しているとはいえ、交通事故による死者数は昨年4117人を数え15年ぶりに増加に転じた。これも2018年には2500人以下にする目標を掲げている(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)。今後、安全支援システムの重要性はさらに高まっていくだろう。
 最終的に公道を走る車がすべて自動運転になれば交通事故や渋滞がほぼなくなると期待されているが、まだまだ現時点では移行の過度期。もう少し時間がかかりそうだ。でも、思い出してもらいたい。初めてハイブリッド車が登場してから瞬く間に市場を席巻し、街中のカローラがプリウスに変わった。同様にこれからACCなどを装備した車が増えていけば、交通事故の削減にも大きく寄与することは間違いないだろう。
 日々進化を遂げる安全運転支援システムだが、まずは体感することが大切。今週末は気になる車を見にディーラーへ試乗に出掛けてみてはいかがだろうか。

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