A:腰部脊柱管狭窄症は、神経の通路である脊柱管(腰部の脊柱管)が狭くなることによって、神経組織が圧迫されてさまざまな症状が表れる病気です。
特徴的な症状は「間欠性跛行」です。間欠性とは、一定の時間をおいて、症状が出たりやんだりすること。跛行は、片足を引きずるようにして歩くことです。
歩き始めは特に症状が強いわけではないのですが、しばらく歩き続けると、脚に痛みや痺れ、こわばりなどが生じ、歩き続けるのが辛くなるし、歩けなくなります。立ち止まり、しゃがんだり座ったりすると症状はすぐに消え、再び立ったり歩いたりできます。
以上がこの病気の特徴で、その理由は、立つと構造上、脊柱管がいっそう狭くなり神経を圧迫し、痛みや痺れが生じます。ところが、体が前かがみになると脊柱管がやや広くなり、神経圧迫は解除されて症状はなくなるのです。
●足指の変形が原因かも
ご質問の方は、整形外科で腰部脊柱管狭窄症と正式に診断されたのでしょうか。ここでまず考えるべきは、本当に脊柱管狭窄症かどうかということです。
私のクリニックの患者さんの中にもいらっしゃいますが、MRIの検査では腰部脊柱管狭窄症の所見が見られても、症状が違っていたりして、現在の腰痛の原因になっていないことも多々あります。
これは、腰椎椎間板ヘルニアと腰痛の関係と同じです。MRIで椎間板ヘルニアの所見があったとしても、それが腰痛の原因となるとは限らないことは、現在ではよく知られています。
それはともかく、ちょっと歩くと痺れたり、痛くなったりする場合は、足元にも要注意です。ある靴を履き続けていてそのような症状が出ている場合は、靴が原因かもしれません。
私のクリニックにも、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアと診断され、手術と言われた患者さんがたくさん受診します。それらの患者さんを診ると、原因の一つとなっているのが足指の変形です。
そして、足指の変形を矯正すると、手術をすることなく症状が消失したというケースは驚くほど多くあります。
足指は、靴の間違いなど色々な原因で少しずつ変形していっています。そして、膝痛、腰痛、股関節痛、時には肩こりを引き起こします。多くの人が、サイズ違いの靴を履いています。ご質問の方はまず、靴を見直すようお勧めします。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。