その犯行は、いずれも施錠していない玄関や窓から侵入し、女性の頭部に布袋をかぶせて目隠しをした上で、両手をビニールテープ縛って自由を奪ってから強姦するという、極めて悪質なものであった。また、女性たちは「殺すぞ」と脅されており、なかには顔面などを激しく殴られるケースも少なくなかった。
いずれも手口が非常に似ていることなどから、警察は同一犯の可能性が高いとして捜査を続けていた。
すると、2000年頃に、布袋らしいものを持った男の姿がコンビニの防犯カメラに移っているのが確認された。さらに、一連の事件が起きたいくつもの現場で、白い業務用のワンボックスカーが何度も目撃されていることがわかった。
警察はこの白いクルマに注目し、ほかの目撃情報や被害者の証言などとあわせて捜査を続けた結果、そのクルマを所有する会社に勤める、会社員の会田俊樹(38)が浮上した。
そこで、警察は会田を呼んで事情聴取したところ、女性に対する暴行を認めたため婦女暴行容疑で逮捕された。
警察の取り調べに、会田は「およそ5年の間に、だいたい50人くらいの女性の部屋に侵入してレイプした」と供述した。警察には江戸川区をはじめ、板橋区、杉並区、品川区、千葉県市川市、浦安市などあわせて約50件の被害届があり、会田の証言とほぼ一致した。
被害者は20代から30代の女性ばかりで、ほとんどが玄関ドアやベランダの窓に鍵をかけていなかった。
ところが、犯人の会田はというと、どこにでもいそうなおとなしい男。勤め先では勤務態度もまじめで、礼儀正しく仕事も普通にこなしていたという。
また、千葉市内に購入した一戸建てに、母親と妻、それに小学生の息子と幼稚園児の娘の5人暮らし。近所では仲のよい一家のマイホームパパと評判は悪くなかった。
ところが、そのマイホームパパの顔の裏で、ひとり暮らしの女性を狙っては次々に強姦し続けていた、卑劣な姿が隠れていたのである。
会田は、会社のクルマを24時間いつでも使えることを利用して、あちこち移動しながら、深夜に襲うための女性を常に物色していたのである。
(つづく)