「当然のことながら北の実像がバレてしまうインターネットへのアクセスはできません。500冊近い電子書籍も入っていますが、もちろん官制書籍。ただし驚くべきことに、世界中で大ヒットしたモバイルゲーム『アングリーバード』の無料アプリが入っているのです。このゲームは親鳥が自分の卵を食べようとするブタを怖い顔をして追っ払う“童話”。これを北朝鮮サイドから推測すれば、卵を奪おうとする米帝=ブタから必死に守ろうとする正恩=親鳥と見立てると思っているのでしょう。ちなみにこのタブレットの価格は日本円で約1万6000円。公務員の月収が300円から1000円ですから、購入できる層は党・軍幹部子弟におのずと限られます」(北朝鮮ウオッチャー)
北の特権階級は「勲戚勢力」と呼ばれる。叔母夫婦である張成沢や金敬姫ら親戚を「戚臣」。側近ナンバー1の崔竜海らを「勲臣」(革命第一世代の子弟・子女)と分けるが、西側情報の入ってくるこれら特権階級層による正恩排除の分割支配が、いつ起こってもおかしくないのが現況である。
「米国ランド研究所の報告書によると、北朝鮮では昨年第一書記暗殺未遂事件が起こり、その後、警護が大幅に強化されたと指摘しています。『勲戚勢力』子弟はゲームの中で正恩をブタ役にして楽しんでいるに違いないのです」(北朝鮮に詳しいジャーナリスト)
正恩第一書記は、国民から『建国の父・金日成』の再来と思われていると信じ込んでいる。タブレットの購入層がまさか、親鳥が国民で、自分がブタに見立てられているとは知らないだろう。
来年あたり、西側諸国でアングリーバードが政権崩壊を導くという新ゲームが発売されるかもしれない。