先場所の遠藤は新横綱の鶴竜から金星を挙げたものの、7勝8敗と惜しくも負け越した。これで2場所連続。千秋楽の支度部屋で、「横綱に勝ったところはよかった。(13日目に)負け越しが決まった後も気持ちを切らさず、しっかり相撲が取れたけど、まだまだ上位は甘くないなと痛感した」と唇を噛みしめた。
幕内上位で勝ち越せない原因はどこにあるのか。北の湖理事長は、「まだ本当の相撲力がついていない。それをつけない限り、せっかく上位に行っても同じことを繰り返す」と分析している。パワー負け、圧力負けというわけだ。
遠藤の体重は146キロ。幕内力士の平均体重よりおよそ13キロ劣り、軽量の部類に入る。夏場所で負けた相手8人の体重を見れば一目瞭然なのだ。
遠藤を高く買っている白鵬も同意見。その打開策として、「体重を増やせばいいんじゃないかな」とアドバイスしたという。
白鵬が遠藤に肩入れするのには理由がある。夏場所は満員御礼が17年ぶりに10回も出るなど、ようやく相撲人気が息を吹き返した。しかし、圧倒的な人気を誇る遠藤がこのまま低迷を繰り返すと元に戻りかねない。それを心配しているのだ。
3場所連続の負け越しは避けたいだけに、部屋の枠を超えた助言は何ともありがたい。遠藤は「食欲の湧かない時期だけに、稽古しながら増やすっていうのはなかなか大変です。でも、やらないと上位に通用しないのははっきりしていますから」と、体重増にいそしむ日々を送っている。
名古屋場所では、ひと回り大きくなった遠藤にお目にかかれそうだ。