同社はアルバイトに対する最低賃金法ギリギリの薄給や長時間労働、過労自殺などの問題が相次ぎ、今や「ブラック企業の雄」とまで揶揄されている。当然ながら現場の士気は低下し、リタイア組が相次ぐ。結果、既存店売上高は3月まで24カ月連続で前年実績を下回った。自業自得と言ってしまえばそれまでだが、要は2年連続のジリ貧地獄に陥った揚げ句、ついに屈辱決算を強いられたのだ。
そんな事情を踏まえれば60店舗の閉鎖に踏み切った背景に同社特有の裏事情が透けてくる。関係者は冷ややかだ。
「安い給料でコキ使うからスタッフが定着しない。それが人手不足=不採算店ラッシュを招いた元凶ですが、使い捨ての感覚が染み付いた経営陣は昔かたぎの発想から抜け出せない。そこで赤字続きの店舗を閉鎖に追い込んだ。まだ全店舗の1割ですから、今後も拍車が掛かりかねません」
その場合、またゾロ特別損失を強いられる。果たせるかな今年3月期、将来利益を上げる前提で計上していた繰り延べ税金資産を22億円取り崩した。これが投資家の目には「戦線縮小シフト」と映る。
「同社は今春の新入社員数が計画の半分にとどまった。景気回復を背景に外食業界などは一部で採用難が深刻化しているとはいえ“ブラック”のイメージが刷り込まれているからアルバイトにさえ敬遠される。今期も大赤字ならば、もう末期的です」(アナリスト)
ジリ貧のスパイラルから抜け出すのは、容易ではなさそうだ。