2011年に新たにがんと診断されたのは、推計約85万人。そのうち男性で最も多いのは胃がんで、女性は乳がん。胃がんは男女ともに日本海側に多く、今後は塩分の摂取や胃がんの元となるピロリ菌の感染状況など、その原因を調べるという。
「塩分摂取量が最も多いのは青森県。確かに、日本海側の県と東北地方は摂取量が多いようです。逆に摂取が少ないのは静岡、東京、京都、神奈川で、今回の発表データでも胃がんに罹る人は少なかった」(厚労省関係者)
また、肺がんは北海道や西日本に多く、喫煙率を見ると青森、北海道、福島、石川、栃木、宮城と高い県が続いている。肝臓がんは、C型肝炎ウイルスの感染者が多い西日本で極めて多いことが判明した。
世田谷井上病院の井上毅一理事長がこう分析する。
「東京は開業医がしっかりしている上、検診を定期的に受ける体制ができている。それが大きいと思いますよ。北海道などの僻地は病院までどれだけの距離があるか。こういう違いも大きいのではないでしょうか。西日本に関して言えば、ウイルスに感染していても焼酎などの強い酒をあおり、タバコを吸う人も少なくない。そうした習慣が、がんにかかる原因となります」
大腸がんは、北海道、東北、山陰地方で多い傾向が出た。
「大腸がんのリスク因子はアルコールや油です。統計には表れていませんが、美食に慣れている東京は大腸がんも比較的多い傾向にあります」(前出・厚労省関係者)
長野と広島では、罹患者の割合に比べ死亡者の割合が少なく、がん研究センターは、「がんの早期発見や標準治療が有効に行われているため」と見ている。
食生活に対する強い意識と、マメに検診を受けることが重要ということだ。