8月29日の対オリックス戦、高卒ルーキーの森友哉(19)がスタメンマスクに抜擢された。強気なリードで猛牛打線を単発7安打、2失点に抑えたのは既報通りだが、同日の先発投手は菊池雄星(23)であった。
「ナンヤカンヤ言っても、西武首脳陣は菊池をエースに育てたいと思っています。その菊池と息の合うところを見せたとなれば、『捕手・森』に“合格点”を付けられたはず」(プロ野球解説者)
森は二軍スタートだったが、7月27日に一軍昇格を果たし、プロ野球史上46年ぶりとなる『高卒新人3試合連続アーチ』を放った。CS進出も絶望的なチーム状況なだけに、森の活躍はファンにとって一縷の望みと言っても過言ではない。それが、29日のスタメンマスクで守備面に関しても波の新人ではないことを証明できたようだ。
「これで、銀チャン(炭谷)の立場はますます苦しくなった…」(前出解説者)
正捕手の炭谷銀仁朗(27)は奇しくも森人気が高まった今年8月、国内FA権を取得した。球団もあらかじめ分かっていた去就問題だったが、昨オフに炭谷には期待していたような大型契約が提示されなかった。昨年の契約更改で西武は中村剛也、岸孝之、栗山巧、涌井秀章、片岡治大、炭谷の主力6人がFA取得、もしくはその予備軍となった。中村とは新たに複数年での大型契約を結び直し、岸、栗山にも実績に似合う大盤振る舞いを見せたが、炭谷に対しては厳しかった。
「交渉は2時間半に及ぶロングラン。それだけでも異例なのに、炭谷は明らかに不服そうな表情で会見場に現れました」(スポーツ紙記者)
金額は2000万円増の7700万円(推定)だが、盗塁阻止率や打撃成績の低さをボロクソに言われたという。涌井、片岡も球団からの思わぬ低評価だったことで新天地を求めただけに、翌年にFA権を取得する予定の炭谷の周辺は騒がしくなり始める。
「盗塁阻止率が落ちたといっても、西武投手陣全体のレベルが落ちています。クイックや牽制、捕手の構えたところとは逆のコースに行くボールも少なくなく、それを炭谷一人の責任にするのはかわいそう…」(球界関係者)
森が菊池との、『新旧甲子園スターバッテリー』を組んだ29日時点で、炭谷の成績はリーグ最多の5失策。4捕逸もリーグ2位で、守備率・993はリーグワーストだ。西武首脳陣が捕手として森をテストしてみようと思ったのも当然だろう。しかし、炭谷の西武内での評価と、他球団の評価には大きな隔たりがある。
「盗塁阻止率は投手が代われば、絶対に回復します。配球の巧さなど、他球団は炭谷を高く評価しています」(前出関係者)
西武はCS進出も絶望的なだけに、森がスタメンマスクを被る機会も増えていくはずだ。炭谷がFAを宣言すれば、正捕手不在の中日、阪神、広島はもちろん、若手捕手が伸び悩んでいるDeNA、日本ハム、ヤクルトも興味を示すだろう。正捕手候補と争わせるという図式なら、思えば4年前に細川亨(現ソフトバンク)を若さと勢いで追い出したのが他ならぬ炭谷だった。
先輩捕手と同じ運命を辿るのだろうか。