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稀勢の里 九州場所で注目される恒例“若手イジメ”の効果

 番付発表も終わり、福岡入りした力士たちは11月12日から始まる今年最後の九州場所(福岡国際センター)に向けて、本格的な稽古に入った。だが、闘いのゴングは福岡入りする前、3週間あまりに及んだ秋巡業中に鳴っていたのだ。
 この九州場所に再起を期す力士は、稀勢の里(31)、鶴竜(32)、さらに大関から滑り落ちた照ノ富士(25)たち。彼らが競い合って若手を引っ張り出し、稽古をつけていた。ただ、それを彼らの頑張りとは受け止められないという。実は、そこには、ハッキリとした意図が読み取れるのだ。

 日馬富士の史上最低タイの11勝の優勝で幕を閉じた秋場所は、「乱戦」「混戦」の他にもう一つ、「若手の台頭」が目立った場所でもあった。北勝富士、阿武咲、朝乃山、貴景勝らイキのいい若手たちのノビノビした相撲が際立ち、優勝した日馬富士さえ前半に3日連続して金星を献上している。
 この若手の台頭は上位陣にとってはまさに脅威。この世代交代を促す嵐に対抗する術として、大相撲界では昔からやっている、伝統的で、かつ陰湿な若手対策がある。有望な若手が出現すると、巡業先などで土俵に引っ張り出し、徹底的に叩きのめすのだ。そうすると、本番で対戦したとき、若手は巡業で植え付けられた負のイメージで固くなり、勝てなくなる。
 「もし巡業でこのイジメのような稽古をやれなくなったら、その横綱、大関はおしまいです。千代の富士もそうやって天下を築きましたが、怪我などでやれなくなり間もなく引退しました。そういう意味で、巡業は若手よりも上位陣にとって大事なんです」(担当記者)

 今年の秋巡業で、この若手との稽古を最も積極的にやったのが、途中休場を含めて3場所連続休場した稀勢の里だった。巡業初日からいきなり、先場所、新入幕で2ケタの勝ち星を挙げ敢闘賞を受賞した朝乃山と3番稽古(同じ相手と何番もやる稽古のこと)。この朝乃山との稽古がよほど気に入ったのか、稀勢の里はこの巡業中、4回もやった。
 ただし、最初は15勝2敗と完勝に近かったが、最後は9勝5敗と盛り返されて首をひねる場面もあった。不甲斐ない成績なら引退と、師匠から最後通告されている鶴竜も、この朝乃山や千代の国らを引っ張り出して稽古に余念がなかった。
 このイジメの成果がどう出るか、見ものである。

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