現役時代、533犠打の世界記録を打ち立てた川相ヘッドだが、この記録にはエピソードがある。'03年オフ、一度は現役を引退し一軍コーチに転身することになっていた川相ヘッドだったが、当時の原監督が電撃辞任をしたことで、このコーチ就任が白紙撤回され、現役引退を発表していた手前、行き場を失った。そこに助け船を出したのが中日の新監督に就任した落合氏だった。引退を撤回し、巨人を退団して中日にテスト移籍している。
「その後、川相氏は'10年オフに中日の二軍監督を辞め、巨人に出戻りました。巨人サイドから毎年のように、川相氏を返してほしいという要望があったようです。そこで落合氏が快く送り出したのです。川相氏には落合氏に2度助けられた恩があり、それに報いたいのでしょう」(中日球団関係者)
一方、次期監督の期待がかかる松井秀喜氏も、今オフの巨人監督就任の可能性は物理的に難しい。ヤンキースのフロントに入り、修業中の身だからだ。そこで自身の代役に推挙しているのが、長嶋茂雄氏の門下生で兄弟子に当たる中畑清DeNA監督だという。
「これまでならジョークで終わった話ですが、今季のDeNAは首位争いを展開しており、有力候補に躍り出た。昨シーズンも巨人戦には勝ち越しており、今季も勝ち越して優勝なんてことになれば誰も反対できない。長嶋さんが後ろ盾で松井が推薦。次の次を目指す松井にはちょうどいいワンポイントなのでしょう」(前出の巨人OB解説者)
昭和30年生まれの江川卓氏は今年が還暦。阪神の掛布雅之氏も同級生で、ともにスーパースターと称えられながら監督は未経験。二人は日本テレビとつながりが深いことから、同局首脳の間では「還暦を機に巨人、阪神のダブル監督誕生」を画策する動きがある。新鮮で監督としての伸び代も十分。他局からも、視聴率復活の起爆剤に期待する声があり軽視できない。
桑田真澄氏も候補の一人だが、このところの本人の興味はプロ野球独立リーグに向けられている。長男・真樹外野手が昨年のルートインBCリーグのドラフト会議で、新潟から2位指名されたからだ。今は巨人のことより息子をプロ野球に押し上げることで頭がいっぱいだという。
もっとも原監督には辞める意思など微塵もなく居座りの構えだが、選手やOBたちがそれを許しそうもない。今季で監督通算12シーズン目。これ以上続けられては順番待ちの監督候補が腐ってしまう。それに群がるコーチ予備軍たち。彼らが一斉蜂起することで、夏を待たずに巨人のベンチ裏は大混乱必至だ。