金本知憲監督(48)がホンネを語れる同年代のプロ野球解説者に「やっぱ、北條(史也=22)はいい!」と、称賛していたという。秋季キャンプ中のこと、取材に訪れた複数の解説者が「北條絶賛」を耳にした。
「ショートは、チームの骨格です。今季、金本阪神はショートを含むセンターラインを確立できず苦戦しました。センターは糸井嘉男の獲得が決まり、正捕手は矢野燿大コーチが原口文仁と坂本誠志郎を競わせています」(プロ野球解説者)
このセンターラインに、あるべき選手の名前がない。前キャプテンの鳥谷敬(35)だ。
金本監督は11月22日の球団納会で鳥谷本人と今後のことを直接話し合っている。そこで出た結論は、再びショートでレギュラーを目指すというもの。本人の意向を尊重したことになっているが、『ショート・北條』は、よほどのことがない限り動かない。二塁、もしくは三塁のコンバートを勧めなかったとすれば、来季開幕戦オーダーに鳥谷の名前はない。事実上の肩叩きである。
「北條のどこを褒めていたかというと、教えれば教えるほど巧くなっていく、成長していくのが分かる点。実戦の中で成長していくタイプとし、多少の不振があったとしても試合に使っていく、と」(関係者)
さらに追い打ちを掛ける人事が鳥谷を襲った。
阪神選手会は会長など人事刷新を行った。新会長に選出されたのは、来季17年目を迎える狩野恵輔。野手では生え抜きの最年長で、人望もある。しかし、副会長以下の人事こそ“超変革”だった。副会長に選ばれたのは25歳の梅野隆太郎、3人の役員には中谷将大、藤浪晋太郎、高山俊。ルーキーまで入閣となったのだ。
「狩野は福留孝介とも相談し、梅野たちを選びました。藤川球児など何人かのベテランとも話をし、将来のため、若手にチーム全体のことを考えさせる機会を与えるべきとの意見で一致しました」(前出・関係者)
その選手会人事では鳥谷も相談を受けたが、これではチーム内における影響力まで喪失しかねない。
「ベンチスタートとなってからの鳥谷は、さらに無口になってしまいました。試合中、どう声を出していくべきか分からず、不振であれば、なおさら若手に声を掛けにくくなった。連日、独りで早出特打です」(同)
気持ちは分かる。しかし、金本監督には「物足りない」と映ったのだろう。
「糸井獲得により、阪神は28人のプロテクト名簿を提出しました。阪神側は鳥谷を出さないと異例の明言をしましたが、『外で勉強させるのも本人のため。将来、阪神の指導者になるときにプラスになる。環境を変えてやるべき』との意見もあったんです」(同)
金本監督が北條をスタメンから外すことは考えにくい。鳥谷も分かっているはずだ。それでもショートにこだわったのは、金本監督への“反発”もあるかもしれない。