6月20日、右手薬指骨折からの復帰を目指す堂林翔太(22)が二軍練習に合流した。フリー打撃を行い、9球中6スイングでヒット性の当たりは、柵越えを含む2本。それを見守っていた浅井樹・三軍統括コーチも「打つことは問題ない」と太鼓判を押し、堂林も報道陣の問いに笑みをこぼしていた。
しかし、視察に訪れた“ケニー・野村”は違った。
「(故障明けで)打ち始めだから、何とも言えません」
冷たく突き放すようにこう言うと、足早に球場を後にした。
「野村監督は堂林に自身の現役時代の背番号『7』を継承させました。これから先のカープを背負って立つ男として期待しているのです」(スポーツ紙記者)
ケニーは、この程度で安堵している堂林、育成担当のコーチ陣にイラッとさせられたのだ。
「入団当初から『幹部候補』と目され、40代前半で指揮官に着任した野村監督は、昨季まで近寄りがたい雰囲気を醸し出していました。専門外の投手部門に口を挟むなどし、『やってらんねえよ!』と衝突してそのまま退団したコーチもいました。自身も反省し、コミュニケーションを大切にするようになったのです」(関係者)
ケニーは交流戦の真っただ中にいたが、忙しい時間の合間を縫って堂林の視察に訪れた。今さらだが、ケニーの性格は、自分に厳しく相手にも厳しい。高いハードルを求めるのは、大きな期待の表れなのだ。
「世の中、もっと上を目指せるのに指示待ちで自分から動こうとしない若者ばかり…。広島の選手は全国のカープ女子に支持されていますが、世の中間管理職は野村監督の“嘆き、憤り”に共鳴しています」(同・関係者)
不甲斐ない選手(=部下)への怒りは、交流戦の連敗中に噴出した。
「見ての通り。打てん、守れん、打たれる。いろいろ言いたいことはあるけど、言っても仕方ない。力がないだけ!」(2対10と惨敗した6月3日の対日本ハム戦)
野村監督の激論は「ただし」や「けれども」の逆説を意味する接続詞が多い。
「言いたいことはあるけど、言っても仕方ない」とミスをした部下をかばう言い方をしつつも、「力がないだけ!」と、バッサリ切り捨てている。