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梅雨シーズンを安全に過ごす ノロウィルス、O157「食中毒」対策法(1)

 梅雨入りも間近で、食中毒の季節でもある。インターネットの投稿サイトにおいて食中毒に関する切羽詰まった質問も増え始めたことでも、その注目の高さが窺える。
 一般的に、下痢などの症状に襲われても、すぐ医者に行く人は少ない。何日か我慢した揚げ句、ひどい激痛に耐えきれず医者へ駆け込むという人がほとんどだ。そんな軽視されがちな下痢でも、中毒症状によっては重い病気に繋がる可能性もあり、自己診断は禁物なのだ。

 下痢になった際、前日から食べたものを思い起こして、「まずいかなと思いながらも半生などの魚を食べた」「同じ料理を食べた人が下した」などという場合は、食中毒の疑いがある。
 食中毒は、中毒症の素因となる細菌やウイルスなどが付着した食品を食べたときに起こる下痢や嘔吐、腹痛などの急性の胃腸炎症状を指す。以前は、冷蔵庫に保存していても、色や味、臭いが変わり、タンパク質や脂肪、炭水化物を分解する腐敗菌の増殖によって起こるのが特徴的だった。しかし最近では、「ノロウイルス」や「O157」によるものが増加。患者が出た地域を震撼させる場合が増えている。

 本来、ノロウイルスが原因の食中毒は、秋から冬にかけて発症例が多かった。しかし、近年は6〜8月の湿度が高い梅雨時に増え始めており、飲食店に次いで家庭での発生件数が多くなっていることが、過去10年の食中毒の発生状況を調べた東京都福祉保険局のデータからも判明している。
 理由は、湿度の上昇によって“カビ毒”が保存していた食品のタンパク質や脂肪に繁殖し、色や味、臭いに変化が起こり、見た目や臭いで「危ない食品」と判断できることもあるが、実際は付着したカビの細菌やウイルスは見えず、判別できないからだ。
 せいぜい、傷んだ食品を手に「粘ついて、においがヘンだ」ぐらいの変化を嗅ぎ分け“危ない”と感じる程度で、それだけでは到底、安心できるわけがない。
 調理人を含め、人の味覚や嗅覚、視覚だけで食品が細菌に汚染されているかどうかわからない−−。そんな状況が、食中毒患者を次々に生んでいるのだ。
 都内の保健所に報告された食中毒の実例からも、細菌の威力や浸透性の怖さがわかる。

 この春、都内の飲食店で、某大学サークルの新人歓迎会があった。その翌日から1週間後に47名の学生が腹痛、下痢、発熱の症状を訴えた。病院が詳しく調べたところ、学生たちの便から「鶏肉の湯引き」によるカンピロバクター菌が検出。
 また保健所の検査でも、鶏肉の湯引きは原材料をスライスした後に熱湯消毒するが、加熱不足に加え、調理人が生肉に触れた手や細菌に汚染された調理器具を使ったため“二次感染”したとの結論が出された。
 「カンピロバクターは少量の菌(100個)で発症する強い菌だが、熱には弱く、65℃で1分間加熱するだけで死滅する。しかし、この例は、食べた肉の中心部分まで熱が通っていなかったのが原因でしょう」

 調査に当たった保健師はこのように語り、さらに注意を促す。
 「カンピロバクターは、もともと動物の常在菌として、牛、豚、鶏などに存在している。すでに広く知らされているのでご存じでしょうが、食中毒に対する心得として(1)生の食品(肉含む)には食中毒を起こす菌があることを認識する。(2)とくに生肉は食べない。(3)加熱処理はしっかり行う。(4)原材料を取り扱った手や器具はよく洗浄し、消毒することを心がけてほしい」

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