「辞めたくても辞められないのでしょう。今も競泳界は北島の知名度で協賛企業が集まっているので」(日本体育協会詰め記者)
それだけではない。日本水泳連盟(水連)もお家騒動に揺れていた。強化担当のトップである上野広治委員長を交代させ、平井伯昌ヘッドコーチを次期委員長にする方針を決めたのだ。
「平井ヘッドは北島をはじめ、寺川綾、荻野公介などを育てた名コーチ。東洋大水泳部の監督を務め、スイミングクラブの指導者も兼任している。有力選手を自身のチームに誘い続け、その発言力は水連内でも無視できないほど大きくなってきました。狙いは上野-平井ラインを崩して、平井さんの影響力をそごうということでしょう。委員長になれば、現場からはどうしたって距離を置かざるを得ませんから」(同)
平井氏の発言力がここまで増したのは、教え子に北島がいたからこそという面もある。その師弟関係を指してこんな声も聞かれた。
「このままでは北島はリオ五輪代表から落選してしまう。北島が復活しなければ、平井氏の影響力は自ずと失墜するものと思われます。他クラブから移籍した荻野は北島と違って、無名時代からの二人三脚ではありませんので」(関係者)
北島はトレーニング機器を扱う会社の社長に就任している。世界大会で解説を務めるなどし、すでに“第2の人生”を歩みつつあるが、本人の未練とスポンサー問題でロンドン五輪後も現役を続けてきた。そして今後は、師匠の立場にも影響が及んでくる。
「浅田真央の現役復帰を望んだのは、羽生結弦を公私で支える元強化部長、城田憲子氏の復権を阻みたい連中。競技は違っても、メダリストの去就には連盟幹部の進退が絡むようですね」(同)
北島も浅田と同じように、自分以外のために復活を期することになりそうだ。