神戸新聞社が50%弱の株式を保有する同社は、社員数が30名余とこぢんまりとした会社だ。関東でいえばラジオ日本(旧ラジオ関東)のようなラジオ局である。そこの専務をこの6月で退任したのが、森下次郎こと悦伸(よしのぶ)氏、65歳だ。
同氏は1970年代に『戦争を知らない子供たち』を大ヒットさせたユニット・ジローズ(第2次)のメンバーで、もうひとりはあの杉田二郎(66)である。
「バンドデビューしたのは'70年、同志社大4年のときでした。杉田が野太い低音を担当し、森下がそれに高い声をかぶせ、何ともいえない美しいデュエットで観客を魅了した。愛称は“ジンタン”で、歌手や音楽関係者に幅広い人脈をもっていた。大学卒業の段階で現役のプレーヤーになるとみられていたが、逆にミュージシャンを売り出す側にまわり周囲を驚かせた」(音楽関係者)
ばんばひろふみ、もんたたよしのり、紙ふうせんの後藤悦治郎、原田伸郎ら売れっ子ミュージシャンと親しくし、同局を「ニューミュージックのラジオ関西」と呼ばれるほどに育てた。今でも原田やばんばは番組を持っている。
そのジローズ再結成が、氏が退任した直後に決まった。お別れの会が神戸のライブハウス『チキンジョージ』で開かれたが、ステージで杉田が「また一緒に歌おう」と呼びかけ、これに氏が応じたもの。
「若いときにエレキギターなどの楽器に熱中した連中は、就職と同時にほとんど触れなくなる。仕事を優先するからです。だが、本心はギターをやりたい気持ちでいっぱい。だから、定年になってからまたエレキやギターに熱中する。森下もその一人といえるでしょう」(前出・音楽関係者)
オヤジバンドは『戦争を知らない子供たち』で、いくら稼ぐのか。