「阪神スタッフの前で鳥谷の話を切り出すと、気まずい雰囲気になります。現役続行のため、来季はどこかよその球団に行くからでしょう」(在阪記者)
しかし、その鳥谷は現役続行の確証を得ているわけではない。正確には、アテにしていた話が“なかったこと”にされたようだ。移籍先として最有力とされていたのが、今季リーグ4位に終わった千葉ロッテだった。
「鳥谷はロッテの井口資仁監督(44)と昵懇です。鳥谷が早大生だった頃、アマチュアの強化策でプロ野球キャンプに有望選手が派遣されたことがありました。ダイエーキャンプを経験した鳥谷は井口と意気投合し、プロ入り後も一緒に自主トレを行ってきました」(ベテラン記者)
その井口監督が弟分を助けると目されていたのだ。しかし、その“師弟関係”が助け舟にならないかもしれない。ロッテフロントにも救いの手を差し伸べてやりたいベテランがいたのだ。東北楽天から戦力外を言い渡された今江年晶である。
目の病気に悩まされた今江は、今季26試合の出場にとどまった。しかし、こちらも「まだやれる、燃え尽きていない」とし、移籍先を模索していた。ロッテとすれば、2015年オフにFA移籍したかつての功労者を無下にすることもできず、「鳥谷よりも…」の雰囲気が色濃くなっている。
「阪神に引退勧告されてからも鳥谷は球場に一番乗りし、懸命に練習しています。たまに守備固めでグラウンドに出る時の足取りを見ても、下半身のバネは全く衰えていません。ただ、打撃の衰えは明らか。NPBでの現役続行は厳しいでしょう」(同)
2000本安打も達成したレジェンドが独立リーグに行くとも思えない。かつての夢だったメジャーリーグにダメモトで挑戦し、自分自身を納得させるという情報も聞かれた。兄貴分の井口監督も救いの手を差し伸べられないとなれば、鳥谷の取るべき道は自ずと限られてくる。
「他球団で現役を続けても、『いずれは阪神に指導者で復帰する』と目されています。鳥谷はトライアウトを受験せず、オファーを待つつもりです。去就が決まらずに時間ばかりが経過すれば、今度は阪神の方が折れるでしょう」(球界関係者)
「折れる」とは、阪神側から「新しい職場を提示する」という意味だ。ただ、来年の二軍監督、コーチ職はすでに決まっているだろう。
掛布雅之氏のようにアドバイザー職を提示し、現場とフロントの両方を勉強させ、将来に備えさせるのかもしれない。その時、鳥谷の方も意地を張る気力は残っていないはずだ。
一周まわって、やっぱり「引退」ということになりそうだ。