《『夏の騎士』、あらためて読み直して、しみじみと感じるところあり。この作品を、私の最後の小説にしてもいいと思った。50歳でデビューした時、10年やれればいいと思ったが、13年もやった。書きたいものはあらかた書いた。悔いはない。》
このように、小説家引退を表明した。その後は自身の小説家人生を振り返るように、
《デビュー以来13年間で14冊の小説を書いてきた。『夏の騎士』は15冊目で約3年ぶりの小説。私の最後の作品として満足いくものになった。これからはたまに新書やコラムは書くつもりだが、それもせいぜい2年くらいかな。》
《小説家引退に際して残念なことはいくつかある。『影法師』と『風の中のマリア』が100万部いかなかったことだ。『永遠の0』『海賊とよばれた男』にまさるとも劣らない傑作なのに……ま、死ぬまでには100万部いくだろう》
《出版界、とくに文芸の業界はうんざりするような連中が多すぎる。『夏の騎士』を最後に引退する。でも最後にいい作品を書けたから満足や。》
と連続ツイート。今後に関しては「盆栽いじりと読書と音楽鑑賞の日々」と意向を明かし、
《音楽と映画についてのエッセイなら書いてもいいかな。執筆依頼と需要があれば、だけど。》
と、執筆活動は続けるとした。そして自らの批判ついて、以下のような“悪態”をついた。
《私を憎悪して何年も悪口を言いつづけている作家や書評家がいるが、彼らは私の引退を大喜びするだろうが、一言言っておきたい。私が引退しても、君らの本は売れないよ、と》
百田氏のツイートには引退を惜しむ声や労いの言葉が多数送られた。しかし、ネット上では、
《大仁田厚》
《うわ〜さすがコピペ作家の百田さん引退宣言何回してるんだよ。品性のかけらもないな。だから嘘が常習化しているのか。》
《何年ぶり何回目だっけ? 他の作家の商法にはうるさいけど、ご自身の「閉店セール商法」は…・・・》
《いつものやめるやめる詐欺ではありませんように…。》
などと全く信用されていないようだ。
百田氏は過去、何か気に入らないことがあったり大言壮語をするときに「引退する」と宣言してきた。2016年には「新刊を出しても一切紹介されないし、どれだけ売れても報道されない。地上波テレビには絶対に呼ばれない。マスコミの世界では既に百田尚樹はいないものとなっている」「『海賊とよばれた男』の映画の宣伝で、私の名前がまったく出されないので、もう小説家を辞めると決めた」と宣言したが、引退していないのは承知の通り。
また、今年に入っても自身の著書『日本国紀』がブックオフに並んだら「作家として私の完敗、いや、物書きの資格なし、です。作家を辞めてもいいです」と予告。
だが、すでに大量に並んでいることが明かされると「『作家辞める宣言』なんて、これまで何回もしてるし、ネットニュースにも何回も取り上げられた。『作家辞める宣言撤回』も何回もニュースになってるし。ま、ダイエット宣言みたいなもの」と開き直った。
こうした経緯があるので、今回の引退もすぐに忘れられてしまうかもしれない。