A:おっしゃるとおり、今年はマイコプラズマ肺炎が大流行しています。天皇陛下も罹患されました。
大流行の原因は、はっきりしていません。抗生物質が効かない耐性菌が出現したため、という見方もあるようです。
●もともとは子供の病気
マイコプラズマ肺炎はもともと子供に多く、30代までの若い世代がかかる病気です。今年も罹患者の8割以上は14歳以下の子供です。
しかし、子供や若い人が学校や会社から菌を家に持って帰ってきて、家庭内感染することもあります。そのため、40代以上の感染者もいるし、免疫力の低い70歳以上の人が感染するケースもあります。ご質問の方も十分気を付けて下さい。
潜伏期間は2〜3週間で、発症すると風邪のような症状が続きます。激しい咳や高熱が出るので風邪と勘違いしますが、痰はあまり出ません。自然に治るケースもあるのですが、診断に手間取っている間に重症化することもあります。
風邪と思って解熱剤を使用することも多く、それによって熱が下がると「治った」と思いがちです。ところが、免疫細胞が十分に働かないため、菌はかえって増え、悪化させることがあります。解熱剤の安易な使用には気をつけましょう。
●乾いた咳が続く
また、長引く症状として、乾いた咳が続きます。この場合は、マイコプラズマ肺炎も念頭においた方がよいでしょう。
予防については、インフルエンザ同様、手洗い、うがい、マスクが勧められています。
一方、抵抗力が高ければ、マイコプラズマ肺炎に感染しても発症せずに済む場合があります。
抵抗力、つまり免疫力を高めるためには、冷え症の体にしないこと。普段から運動によって体、そして呼吸器を鍛え、半身浴などで体を温めましょう。
食事も、甘いものや冷たいもの、加工食品を避けるなどで冷え症を改善すること。そうすれば、免疫の細胞が活性化します。
また、過労や睡眠不足を避け、疲れやストレスをためないようにすることも大切。
自律神経のバランスを安定させ、免疫力アップにつながります。感染しても発症しない、または軽症で済むような強い体づくりを日頃から心がけておくことが、一番の対策だと思います。
首藤紳介氏(湯島清水坂クリニック医師)
久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院母子総合医療センター等を経て、2010年より湯島清水坂クリニック(東京)に勤務。「福田−安保理論」をベースにした自律神経免疫療法により「薬だけに頼らない医療」を実践中。