「カカオ豆の生産国トップはコートジボワール(全体の40%)です。同国とガーナ、ナイジェリア、カメルーンの西アフリカ諸国で世界の6割を生産していますが、アジアではインドネシアがダントツで、これら5カ国で世界の生産量の9割を占めています。この地域が地球温暖化の影響で干ばつなどに襲われ、生産量が激減しているのです」(食品専門紙ライター)
チョコレートは近年、新興国、特に中国で需要が大幅に伸びている。先進国でも、血圧を抑制するという健康面から評価が見直されるようになった。需給のバランスが大きく狂い始めているのだ。
「カカオ豆の価格は、主にロンドン(アフリカ産)とニューヨーク(中南米産)の商品先物市場による国際相場が握っていますが、ロンドン市場では1トンあたりの価格がここ数年の間に500ポンドから3000ポンドまで乱高下し、この不安定な世界市場の直撃を受けた生産者が、農場を捨てるという現象も起きています。カカオ豆の高騰を仕掛けているのがヘッジファンドで、温暖化による要因とこのヘッジファンドの参入が、庶民からチョコレートを取り上げようとしているのです」(食料問題に詳しいジャーナリスト)
ならば生産地を他に移したり、育成年数の圧縮を可能にする品種改良はできないのか。
「生産地の拡大は国境を越えることもあり、政治的に難しい。またカカオ豆は3品種が知られるが、元は同一種ですから品種改良も簡単ではありません。遺伝子組み換えに賭けるしか手はないでしょう」(同)
来年のバレンタインにはチョコがないかも…。