一言でオンラインサロンといっても、その種類はさまざまだ。ビジネスや金融関係から、スポーツ、ゲーム、美容などジャンルは幅広い。料金も無料のものから、月額数万円かかるものまである。オンラインサロンで提供されるサービスの内容は主に、「主催者の投稿」と「会員間の交流」の2つ。主宰者とだけでなく、同じ志を持った参加者同士がリアルタイムにやりとりできるため、情報を受け取るだけでなく発信することもでき、参加者同士の連帯感が強くなるという魅力もある。
しかしその反面、オンラインサロン内でのトラブルもいくつか報告されているようだ。特に、オンラインサロンへの参加理由が、憧れている人が主宰者であるという場合はトラブルが発生しやすい。
参加者は、憧れの人に評価されたいという思いから主催者のサロン運営を手伝ったり応援したりしていても、その実、経費削減や宣伝に利用されているということも少なくないようだ。オンラインサロンがしばしば新興宗教やマルチ商法と比較されてしまうのは、こういった運営状況に理由があるのかもしれない。
では、そんなオンラインサロンに、なぜ芸能人が続々と参戦しているのか。まず、「アンチがいない」のが理由の一つだろう。アンチがいなければ、炎上が起きる心配も減り、全公開型のSNSとは違い、発言の一部だけ切り取られ意図しない内容で広まるリスクも少ない。芸能人にとって、素直に発言しやすい絶好の環境といえる。
次に、「自らが広告塔になれる」という利点もある。大手プラットホーム・DMMに登録のあるオンラインサロンだけでも12月現在、約600ある。類似サロンが乱立する中で、芸能人が広告塔になれば差別化が図れ、認知もされやすく、企業やほかの有名人とのタイアップも実現しやすくなる。
三つ目の理由は、「ファンクラブ+αの使い方ができる」からだ。一方的に情報を発信するファンクラブとは違い、オンラインサロンは、芸能人とコミュニケーションを取ることができる。ファンもそこに大きな価値を見出すために入会する意義が生まれ、かつ、芸能人にとってはサロン運営等の仕事が無償で依頼しやすく、運営費の削減にもつながる。
現在では、DMMオンラインサロンの公式サイトでさまざまな芸能人のサロンが紹介されている。アンジャッシュ・渡部建は、芸能界きってのグルメとして知られているが、ネットに掲載されない店や、隠れた名店などを紹介するサロンを月額5000円で運営している。髭男爵のひぐち君は、キャラクターを生かし、月額3500円で貴重なワインの情報などを提供している。タレントの福田萌は自身の子育ての経験を生かして、掲示板でママ友と交流ができるサロンを月額500円で運営し、映画コメンテーターの有村昆は、本音で語る映画批評の配信や映画鑑賞のオフ会などがメインのサロンを月額2500円からで展開するなど、多くの芸能人が、イメージを活かしたサロンを展開している。
ますます盛り上がりを見せるオンラインサロン界隈。2020年も参戦する芸能人が増えるか注目が集まる。