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万病の元である「口呼吸」から「鼻呼吸」への治し方(1)

 「あなたは鼻呼吸派? それとも口呼吸派?」
 そんな質問を突然されたら、「エッ、どっちだろう」と迷うかもしれない。とくに眠っている時の自分の呼吸は、どちらかわからないものだ。しかし、口が半開きになる口呼吸派だと、空気中の埃、細菌、ウイルスなどを吸い込んでしまい、風邪や喉の炎症などを引き起こす。悪化させれば、肺炎にもなる。また、イビキはもちろんのこと、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因にもなる危険な要素を含んでいるのだ。

 人は呼吸を無意識に行っている。普通は鼻で空気を吸って、鼻から吐く。そんな事は当たり前、と誰もが思うだろう。ところが、近年は口から空気を吸って口から吐く、つまり口呼吸をする人が増えている。これからシーズンを迎える花粉症やインフルエンザなどにかかると、鼻炎を起こし、鼻詰まりが起きて鼻(び)呼吸ができず、口呼吸にならざるをえない。
 また「上下の歯の噛み合わせが悪い」「前歯が飛び出したり、歯にすき間が多い」「自然な状態にしていると口が半開きになる」「下唇が上唇より分厚い」などという人も、口呼吸をしている人が多いと専門医はいう。

 横浜市内で『なかお耳鼻咽喉科』を開く中尾幹文院長はこう指摘する。
 「風邪や喉の病気で来る患者さんを診ると、口呼吸をしている人が多い。そういう方には“口呼吸派は百害あって一利なし”と説明しています。都会の空気中には埃や細菌やウイルス、花粉や有害な排気ガス、最近やっと問題にされてきたシックハウス症候群の原因物質など、体に有害なものが含まれています。こうした悪い空気が、口呼吸をしていると口から喉を通り、肺に入っていきます。すると肺炎などさまざまな病気の要因となることがおわかりいただけると思います」

 では、反対に鼻呼吸の人は、どんな効能があるのだろうか。
 まず鼻の役割だが、それは、ひと言でいうと“空気清浄機”である。鼻毛や鼻の奥にある繊毛(せんもう)は、埃や雑菌、ウイルスや花粉などの外敵の侵入をシャットアウトするフィルター役を果たす。また、鼻の粘膜も入り込んだ雑菌などを浄化する他、乾いた空気、冷たい空気が直接肺に入らないようにするなど、鼻は加湿器同様の働きもしているのだ。
 例えば冷たくて乾いた空気でも、鼻腔(びこう)で暖められ、適度に湿度を含むクリーンな状態で喉から肺へと達する。鼻呼吸というのは、健康を維持する上で大切な役割を果たしているのだ。

 赤ちゃんは、母乳を飲む時は鼻呼吸をしている。しかし、生後5カ月を過ぎ、離乳食や声を出し始めると、口呼吸に変わってしまう。そこで母親は“おしゃぶり”を使って「鼻呼吸の促進」を図る。せいぜい2歳ぐらいまでに、鼻呼吸が自然に出来るように“訓練”を繰り返すことになる。
 しかし、子どもが成長し大人になると、生活環境の変化などで、いつの間にか呼吸も鼻から口へと変わってしまう。起きている時は鼻呼吸をしている人でも、寝ている時は口呼吸になっていることが多く、とくにイビキをかいている時は100%口呼吸である。
 専門家によると、口呼吸を行っている人と、鼻呼吸をしている人を比べると、口呼吸者は鼻の穴も小さく、小鼻部分が厚く、ほとんど動かない。これに対して鼻呼吸者は小鼻が良く動き、酸素の交換も行われやすくなっているという。

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