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帝王賞 フジノウェーブが迎撃態勢

 27日、大井競馬場で上半期のダート王を決定する「第30回帝王賞」(JpnI 200m)が行われる。南関東は総大将アジュディミツオーが回避。下馬評はブルーコンコルド、サンライズバッカスのGI馬2頭を擁す中央勢が優位に立っているが、地方馬もただで馬場を貸す気はない。地元TCKのニューヒーロー・フジノウェーブが反撃の砂塵を上げた。
 重賞初制覇(マイルGP)を含む10連勝で一躍スターダムにのし上がったフジノウェーブ。馬体重、斤量、距離…レースのたびにささやかれた不安要素を克服しての快進撃はアッパレだが、それを支えてきた陣営の苦労と努力は並々ならぬものがあった。
 とくに、陣営が気をもんだのが体質との闘いだ。もともと腸が弱く、疲れが出やすいタイプ。一昨年秋の転入時には虫歯も患っていた。だが、昨年にその治療を終えると徐々に食いも良化。久しぶりの遠征競馬だった前走で馬体が増えていたことが、進化したウェーブの何よりの証明といえるだろう。
 それにしても、V10達成は数字ばかりではなく中身もすごい。58kgの酷量克服はじめ、1200mから2000mまで幅広く距離もこなしてみせた。初の交流重賞となったさきたま杯で連勝はストップしたが、評価がこれで下がることはない。
 スタートでトモを滑らせる不利がありながら、後方で折り合いに専念。直線猛然と4着まで追い上げた内容には、高橋三師も「収穫の多いレースだった」と話していた。このさきたま杯は、マイルがベストと考え、京成盃グランドマイラーズにも登録していた陣営を帝王賞に出走させる決め手にもなった。
 最終追いは22日、大井競馬場で矢野貴騎手を背に行われ、5F61秒2→48秒0→35秒8(良)を計時。3Fから内に併せたソーニャドール(牡3歳)には半馬身ほど先着を許したが、馬場の七分どころを通ってこれだけの時計が出れば合格ラインは超えたといえる。
 担当するベテランの真鍋厩務員は「厩務員生活最後の年にGI(JpnI)に初挑戦できるなんて、それだけでもありがたい」と控えめ。また、ジョッキー時代に3度帝王賞を制したトレーナーも挑戦者として冷静に状況を見つめ、決して強気なことはいわない。
 だが、陣営のたゆまぬ努力がウェーブをここまで成長させたのはまぎれもない事実だ。定年を間近に控えた真鍋厩務員にとっても、いわば帝王賞は集大成をかけた一戦になる。昨年の最優秀ダート馬にどこまで迫れるか。“ホーム”の利を生かし、フジノウェーブが大きなうねりを巻き起こす。

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