「白井オーナーは落合GMを信頼し、落合GMも白井オーナーの期待に応えようと思っています。もともと、落合氏を監督に招聘するときもその後ろ楯となったのが白井オーナーでした。二人三脚の関係は続くはず」(球界関係者)
このように、落合GM体制の安泰を伝える声も多いが、問題なのは今年のチームの成績と観客動員数だ。交流戦を終え、セ・リーグペナントレースが再開されたが、中日はAクラスはおろか、広島と最下位争いを続けている。もっとも、首位とは5ゲーム差であり、大きく引き話されているわけではない。だが、今季の戦力補強とチーム編成は落合GMの主導で行われた。特にドラフトは異例の高校生指名無し。外国人選手の獲得にしても、落合GMが絶大な信頼を寄せる森繁和ヘッドコーチが決めている。ペナント敗戦の責任を問われた場合、落合GMだけが無傷でいられるはずがない。
「交流戦終了時点での入場者数は前年対比で0.2%減です。昨季も主催最終戦でようやく総入場者数200万人に到達したことからも分かるように、観客動員の長期減少傾向が解消されていません」(地元関係者)
昨年オフも落合GMによる辛口査定に泣かされた選手は少なくない。しかも、「チームスタッフや裏方さんの給料も上がっていない」(同)という。現場を支えるスタッフの士気低下はチームの致命傷になりかねない。
「昨オフに解雇された堂上裕剛は巨人に拾われ、勝利を決める一打を放つなど頑張っています。堂上は地元出身であり、堂上兄弟は外様の多い、いまの中日と地元ファンや地元企業を繋ぐ存在でもありました」(同)
落合GMは監督時代、「勝つことが最大のファンサービス」とし、それを実行してきた。しかし、勝利至上主義のため、マスコミに情報を遮断することもあり、ファンとの交流の場も減ったため、チーム成績と観客増が直結しなかった年もあった。
いまはチームが低迷している。お客が来ないうえに「勝てない」となれば、落合GM体制にメスを入れなければ、他の球団スタッフとの“調和”が取れない。というのが、安泰説を否定する根拠とされている。
「今年も基本的に落合GMがドラフト候補を絞り込む予定です。大学生、社会人の選手が多くなりそうで、中日スカウトは地元中京地区の超高校生右腕である高橋純平の1位入札に参加したいとしていますが、それも叶わないかもしれない」(スポーツ紙記者)
中日は地元有望選手の流出を嫌う。落合GMがこの高橋をどう評価しているのかはまだ分からないが、白井オーナーが説得役となって、“妥協”を求めてくる可能性は高い。
「出場記録で野村克也氏を抜いた谷繁監督が現役を続けるのか、また、2000安打を達成した和田一浩の去就も焦点になるでしょう」(同)
チーム低迷、観客減、戦力補強に地元との関係。落合GMはこの状況をどう打開するのか、その手腕は実に見物である。