1月15日、大阪府警と近畿厚生局麻薬取締部に大麻取締法違反で逮捕されたのは、大阪府松原市の職業不詳・村上浩朗容疑者(42)ら男女7人。
「こいつらは空き工場の中に空調やら光量の調整設備まで用意して、大麻草1100株を栽培しとった。ここまで大掛かりなんは、最近では例がない。大麻工場いうか“生産プラント”ですわ。これだけのもんを個人で動かせるはずがない。裏に組織がおる」(捜査関係者)
現場は近鉄富田林駅から約1キロに位置する工業団地の一角。以前は「シャッター工場」だった約400平方メートルほどの建物が、知らぬ間に大麻工場になっていた。
「 去年の夏すぎから何かやりだしたときは、『あそこも次が入ったんやな』ぐらいにしか思わんかった。ところが、夜しか人の出入りがないし、窓いう窓に目張りがしてある。何かおかしいな、とは思うとったんです。この辺りは大阪でも田舎。工業団地いうても景気が悪いから空き工場も多い。そこに目をつけたんやろな。他の空き工場も心配や」(近くの工場経営者)
府警OBは、大麻に関しての認識の変化を指摘する。
「ここ数年、国際的に見れば“大麻合法化”の動きがあり、いずれ日本にも波及するという誤った認識が広がり、大麻に関する罪悪感が希薄になっている」
認識の変化は、売人側にも見られるという。
「そもそも薬物はシノギとしてはご法度やったけど、今は暴対法の締め付けでシノギが少なくなったんで、下の方では手ェ出す奴が増えとる。『大麻は覚醒剤とは違う。もうすぐ日本でも合法になる』とかなんとか、勝手な理屈つけてな」(元暴力団関係者)
捜査当局は、背後に大掛かりな密売組織があるとみて、慎重に捜査を進めている。村上容疑者らは、少なくとも昨秋から数千株を栽培し、密売していたとみられ、末端価格は数億円に上るという。