樹海の中には何本も遊歩道が走っている。遊歩道を外れて奥に進めば、迷える森に入っていける。樹海は平安時代初期の864年、「貞観大噴火」と呼ばれる富士山の噴火によって広大に流れ出た溶岩が地盤なので、硬くゴツゴツしている。倒木も多くて、歩きづらい。ある程度、キチンとした装備で来ないと、ケガをすることになる。ただし、「樹海の中ではコンパスが狂う」という話は都市伝説だ。コンパスも利くし、GPSも使える。場所によっては携帯電話の電波も入る。つまり「いったん樹海の中に入ると、迷ってしまって出られない」というのもウソである。
樹海を訪れる人の多くが、自然観光である。森や洞窟の様子を観察に来る。世界的にも珍しい原生林なので、外国から見に来る人も多い。
あまり多くはないが、樹海の中にも観光名所はある。メジャーなところでは、最初に出てきた「富岳風穴」などの洞窟である。樹海にはマイナーな洞窟もたくさんある。富士風穴はかなり大きい洞窟だが観光地化されていない。息を飲むほど広い洞窟なので、一見してもらいたい。
珍しいところでは、とある宗教家が建てた、宗教施設がある。今は人は住んでいないが、かつては宗教家とお付きの女性が住んでいた。
「ここで世界が滅びる日が来るのを待っているのだ」
と、なんだか意味深なことを言われたのを覚えている。
樹海を散策していると、昔に作られた炭焼のかまどの跡など、人工物を発見することも多い。かなり古い型のトラックが打ち捨てられて、朽ちている場所もあった。
そして読者の皆さんが期待しているであろう“自殺者の死体”。樹海は自殺の名所であるため、歩いていると死体と出くわすことがある。ちなみに僕が見た死体は合計6体だ。
最初に見つけた死体は、亡くなってまだ半日ほどしか経っていない“活きがいい”死体だった。発見したときは、青白い顔のオジサンが、樹海の中で立っているのかと思った。腐乱死体や白骨死体も発見した。
「死体を探すなんて、不謹慎だ‼」と怒られることもあるが、実は人助けをしたことがある。自殺しようとしている人を助けたことがあるのだ。姉妹の老婆であり、消極的な自殺をしようとしていた。僕が通報してやってきた警察官に「なぜ死のうと思ったの?」と聞かれて、「インターネットが悪口を言うんです‼」とおいおい泣いていた。彼女たちの持ち物は、母親の遺影と遺骨だけだった。
そんな、いろんなことがある樹海旅行。興味がわいた人は、迷わず探検に行ってみよう‼