一連の不祥事を受けゼップ・ブラッター会長(スイス)は汚職事件の責任を取る形で「早期に次期会長を選ぶ臨時総会の開催を求める」と会見で語り、引退を表明した。
「辞任することで『司法取引があったのでは』との声もありますが、それはあり得ない。捜査当局の本丸はあくまでもブラッター会長です。同会長も捜査対象に含まれている。ワーナー副会長が2010年南アフリカW杯招致成功の謝礼として南ア側から1000万ドル(約12億円)を受け取った時の窓口がFIFAのジェローム・バルク事務総長だった。彼はブラッター会長の側近中の側近だけに、捜査当局もこの一件には深く関与していたと睨んでいるんです」(捜査消息筋)
まさに泥沼の様相を呈してきたFIFA汚職事件。ところが、この火の粉が日本にも飛び火しようとしている。
6月19日、スペインのスポーツ紙アス(電子版)が、2002年日韓W杯招致の謝礼として2000年に南米サッカー連盟(CONMEBOL)へ、日本サッカー協会名誉会長(当時)の故・長沼健氏が150万ドル(約1億8500万円)を送金していたと報じたのだ。
「『当初、眉唾かと思った』と言うCONMEBOLの元職員A氏は、インタビュー動画などで『CONMEBOLの元会長でFIFAの副会長を務めていたニコラス・レオス氏が裏金を管理してきた』と証言した。事実、A氏はCONMEBOLで15年間働いていた実在する人物です。さらに裏金のやり取りを裏付ける書類もあり、書類にはレオス氏とその妻の署名があるというんです」(サッカージャーナリスト)
スペインのスポーツ紙報道を受け、日本サッカー協会は即座に会見を開いた。小倉純二・名誉会長自らが「1996年に招致はすでに決まっていて、大会の準備をしていた。(裏金送金は)あり得ない。そもそも、そんなお金はない」と完全否定した。
「FIFA委員に対し裏工作を行うのは招致国のテレビ局やスポンサー企業、広告代理店から要請を受けたエージェント会社。PRの名目でウン十億円の資金を預かるんです。有名なのは日本の大手広告代理店とドイツのスポーツ用品メーカーが共同で設立したI社などです。事実、日韓W杯誘致でも暗躍したともっぱらの評判になっています。最悪、裏金の授受が問題になってもI社の責任としてかたを付ける。すでにI社は米司法当局の捜査対象リストにも掲載されています」(FIFA事件事情通)
さらに、こんな情報も本誌は入手した。
「W杯招致委員会は莫大な付け届けをFIFA委員に渡していたといわれている。しかも、大会開催前に視察と称してやって来る委員をお土産漬けにするんです。例えば大型バスで銀座、新宿や秋葉原などに乗り付け、中国人の“爆買い”以上の買い物をしてもらう。もちろん、支払いは日本側です。この金額だけでも数億円になるなんて噂も囁かれている」(同)