ある協会関係者がこう話す。
「文化、芸術の域にノルマを課すのは違和感があるが、橋下さんの“面白くない”という指摘は我々も真摯に受け止めるべきでしょう。これが民間なら招待券を使ってでも何とかしたいところですが、公益財団法人ではそうはいきません。来年度もノルマ制は継続されるようですから、これ以上カットされないためにも努力するしかありません」
しかし、悲観的な見方の一方で、明るい話も出ている。昨年来の“文楽大ピンチ”報道が効いたのか、ここへきて観客動員数が確実に増えているという。ちなみに、現在上演されている初春公演は連日満員状態。しかも、思わぬ味方も現れているのだ。
「周辺の風俗業界ですよ。そもそも劇場の周りは、ミナミでも指折りの風俗地帯。数多くのヘルスやラブホテル、デートクラブが店を構えていますからね。これらが『文楽の衰退は、そのまま地域の衰退につながる!』と、援護射撃の動きを見せているんです」(地元風俗記者)
あるホテトルのオーナーもこう話す。
「長年、この辺で商売させてもらっている者として、地域の衰退を黙って見ているわけにはいきません。大きな声では言えませんが、文楽や劇場関係者の中には、私らの“お得意さん”もいてはりますし(笑)。本当は劇場の半券を持ってきた人には特別サービスとか、こっちが劇場の割引券を配るなどしたいんですが、劇場がいい顔をしないでしょう。だから、チラシ配りなど、やれるところからやります」
色街が伝統芸能の救世主となるか。